2017/04/30【インフルエンザ脳症】5歳以下の子どもが発症しやすいインフルエンザ脳症

【インフルエンザ脳症】5歳以下の子どもが発症しやすいインフルエンザ脳症

インフルエンザは、高熱や全身倦怠感、関節痛等様々な症状が現れます。インフルエンザウイルスの感染が原因で脳症が起こることがあります。今回は、5歳以下の子どもが発症しやすいインフルエンザ脳症の症状と治療法について解説します。
インフルエンザ脳症 インフルエンザ脳症とは、インフルエンザウイルスに感染した際に、サイトカイン(体内に侵入したウイルスや細菌等を排除する免疫回路)が何らかの理由で過剰に働き、脳の組織を破壊してしまう病気です。サイトカインの働きが過剰になる理由については、未だ解明されていません。
インフルエンザ脳症の症状 インフルエンザ脳症を起こすと、次のような症状が現れます。

高熱、咳、鼻水、全身倦怠感、咽頭痛、筋肉痛、けいれん、異常行動、幻覚や幻視

インフルエンザ脳症は発熱後48時間以内に起こる可能性があるので、様子を注意深く観察しましょう。
インフルエンザ脳症の治療法 インフルエンザ脳症に対する根本的な治療法は、確立されていません。症状を抑えることを目的とした対症療法が適応されます。まず、インフルエンザウイルスの増殖を抑える抗インフルエンザ薬(タミフルやラピアクタ)を早期に使用します。タミフルは内服薬ですが、意識障害が起きている場合は鼻に管を通して注入することもあります。ラピアクタは、呼吸不全などでタミフルを服用できない場合や、脳症または脳炎が起きている時に点滴として使用します。

全身管理やけいれんを抑える薬、脳の腫れを抑える薬などが必要になる場合があります。また、ウイルスなどの感染による免疫の過剰な働きを抑えるために、次のような治療が適用されます。

(1)メチルプレドニゾロンパルス療法
免疫を抑制する作用がある、ステロイドを大量に投与する治療法

(2)γ-グロブリン療法
ウイルスなどに対して抵抗力を示すγ-グロブリンというタンパク質を投与する治療法
インフルエンザ脳症の後遺症およびリハビリテーション 後遺症の内容としては、運動麻痺、てんかん、嚥下障害などがあります。後遺症が残った場合は、リハビリエーションを行います。内容は症状によって異なりますが、理学療法士や作業療法士など様々な専門スタッフから成るチームがサポートします。関節などが固くならないように、早い時期から開始することが望ましいです。

<まとめ>
インフルエンザウイルスには複数の型があるため、予防接種だけでは完全に防ぐことはできません。インフルエンザウイルスに感染しないように、手洗いうがいやマスクの着用、人ごみを避ける等の対策を講じましょう。

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