2017/04/18【ウイルス性呼吸器疾患】サンパウロ市=子供用の病床間に合わず=重度のウイルス性呼吸器疾患急増で /ブラジル
【ウイルス性呼吸器疾患】サンパウロ市=子供用の病床間に合わず=重度のウイルス性呼吸器疾患急増で /ブラジル
例年より早い時期から重度の呼吸器疾患で病院に運ばれる子供が増え、サンパウロ市内の病院で病床不足が起きていると13日付フォーリャ紙や17日付グローボ局ニュースが報じた。
サンパウロ市での子供の呼吸器疾患は例年より早めの2月から増え始めた上、重症患者の割合も昨年の6%を上回り、10%にいたっているという。
ある私立病院医師によると、呼吸器疾患で救急外来を訪れた子供の多くは呼吸器合胞体ウイルス(英語略号はRSV、ポルトガル語ではvirus sincicialで略号はVSR)に感染しており、その9割は重症化しやすい型のウイルスだった。同病院では2月以降の入院率が10%上昇、入院期間も10%延びている。
VSR感染は全年齢層の人に起こり得、風邪と似た症状を呈する。小児や乳幼児が感染すると重篤になる可能性が高い。例年の感染のピークは5~9月で、小児や乳幼児の気管支炎の75%、肺炎の40%は同種のウイルスが引き起こす。
特に危険なのは、未熟児を含む2歳未満の子供や60歳以上の人、心臓や肺の病気のある人などで、臓器移植後の人や免疫能力が落ちている人も要注意だ。感染から発病までの潜伏期間は4~6日で、症状が出始めた頃が移りやすい。初期症状は風邪に似ているが、高熱、セキが続く、呼吸困難、チアノーゼ、肺にタンがたまる、食欲不振などの症状が出た時は救急外来に連れて行った方がよい。
感染者への対応は対症療法のみで、医師が処方した薬を飲ませる一方、充分な休養や水分をとらせる、喫煙者に近づけない、部屋の湿気を保つなどの注意が必要だ。
私立病院の中には、重度の呼吸器疾患の子供が増え、病室が足りずに対応を断ったところもあるようだが、公立病院でも状況は同様で、投薬などを受けながら、24時間近くを病院の廊下で過ごし、やっと病室に移ったが、退院のめどは立っていないという子供の例なども報告されている。