2018/07/14【トキシックショック】10代女性、修学旅行中にタンポンの長時間使用が原因で死亡 /アメリカ
【トキシックショック】10代女性、修学旅行中にタンポンの長時間使用が原因で死亡 /アメリカ
タンポンと毒素性ショック症候群。まれに起きる重篤症状について知っておくべきこと。
昨年、サラ・マニトスキさんが学校の1泊旅行で就寝中に亡くなった。死因はトキシックショック(毒素性ショック)症候群であることが、検視官により確認されている。
昨年の3月、サラさんは、クラスメイトととともに、バンクーバー島の近くにあるホーンビー島へと学校の1泊旅行で出かけた。
カナダ・ブリティッシュコロンビア州検死官サービスの報告によると、サラさん(当時16歳)は昼間は学校の行事に参加し、その後に具合が悪いと友人に話していたという。夕飯はあまり食べずに、部屋に戻り寝たという。翌朝、同室の友だちは、サラさんがまだ寝ているものだと思い、朝食へと行った。戻るとサラさんの反応がない。先生や救急隊員による心肺蘇生が試みられたが、目覚めることはなかった。
その後、検視報告書により、体内に残されたタンポンから黄色ブドウ球菌が検出され、死因はトキシックショック症候群であることが確認された。
「妹は就寝前に下腹部の痛みを訴えていました。そして目覚めませんでした。あんなに健康だった妹が、あんなにかわいい妹が、このために死んでしまったのです。なので、この投稿をシェアしてください。知ってもらって、タンポンを使うときは気をつけてください」
サラさんの姉、カルリ・マニトスキさんは、自身のFacebookページにこのように投稿している。BuzzFeed Newsはカルリさんに連絡を試みたが、コメントはもらえなかった。
「シェアしてください。
9か月間におよぶ苦悩の末、妹は、トキシックショック(毒素性ショック、TSS)で亡くなったことが遂に確認できました。
女の人は、もっとこのことを知っている必要があります。TSSが何かさえも知らない人もいるでしょう。TSSはとてもまれだと言われていますが、私の周りにはふたりもTSSに感染した人がいます。ひとりは辛うじて生き残り、妹は亡くなってしまいました。
本当にまれに罹患する感染症なのでしょうか? 妹は就寝前に下腹部の痛みを訴えていました。そして目覚めませんでした。あんなに健康だった妹が、あんなにかわいい妹が、このために死んでしまったのです。なので、この投稿をシェアしてください。知ってもらって、タンポンを使うときは気をつけてください。
このことについてはあまり教育もされていなく、もっと光を当てられる必要があります。あんなに素晴らしい若い女性に、あんなになくてもいい悲劇が起きるなんて。誰にも同じことが起きて欲しくありません。この投稿を読んでひとりでも多くの人に知ってもらい、TSSとは何かを調べてもらい、TSS のことを知ってもらえたら、嬉しいです。
読んでくれてありがとう。シェアしてください」
トキシックショック症候群は、細菌感染でまれに引き起こされる生命を脅かす合併症である。誰にでも起こりえる。
「トキシックショック症候群は、黄色ブドウ球菌がコロニーを形成し、毒を出すことにより発症します」とニューヨーク州の産婦人科医アリッサ・デュエック博士はBuzzFeed Newsに話す。通常、黄色ブドウ球菌が原因ではあるが、A群レンサ球菌もまた、トキシックショック様症候群(TSLS)の原因となる。
いずれにしても、TSSはまれである。米国疾病管理予防センター(CDC)によると、1980年以降、アメリカにおける年間罹患率は、およそ10万人に1人で推移している。
細菌から毒素が放出されると、血流に入り込み、免疫反応が起き、身体の他の組織や臓器に損傷を与える。症状には、突然の高熱、低血圧、全身を覆う日焼けのような発疹が含まれる、とデュエック博士は話す。TSSは急激に進行し、腎不全、ショック症状、敗血症を引き起こし、時には症状が出てから数時間で死に至る。
TSSの発症には、体表や体内にこの細菌が存在する必要がある。通常、黄色ブドウ球菌は、皮膚や気道、鼻、膣、直腸に存在していて、人口の約半数は、なんの症状や問題もなくこの細菌を体内に持っている。ブドウ球菌や連鎖球菌がすべて、TSSを引き起こすわけではない。
1980年、長時間にわたり吸収性に優れたタンポンを使っている女性の間で、TSSの発症件数が急増した。だが、TSSは、男性や子どもなど、誰でも罹患する感染症で、皮膚の傷、術後、骨感染症、ペッサリー・コンドーム・殺精子薬などの障害式避妊手段、火傷、免疫系を抑制する薬の服用なども、リスク要因に含まれる。デュエック博士によると、報告されているTSSの症例のうち約半数は、月経以外の要因によるとのことだ。
では、なぜそもそもTSSがタンポンと関連づけられていて、生理がある女性にとってどういう意味があるのだろうか?
タンポンは安全に使えるし、1980年代にTSSと関連づけられた高吸収の商品は、市場から回収された。
タンポンだけがTSSを引き起こす原因ではないのだ。タンポン自体が細菌や毒素で汚染されているわけではない。細菌や毒素は、私たちの身体に由来するのだ。
「この細菌は膣に普通に常在しており、膣内に高吸収のタンポンや何か他のものが長時間いれられていることで、毒素が放出されやすくしているのです。若い女性にその傾向が顕著に見られます」とデュエック博士は話す。
1980年代に月経に起因するTSS の症例が増加した後、タンポンメーカーの多くは、原料を変えた、とデュエック博士は続ける。その結果、TSSの感染数は、激減した。TSSに関する意識が向上したことに加えて、安全なタンポン使用がより知られるようになったことにもよる。
現在、タンポンは医療用具として、食品医薬品局(FDA)が規制しており、製造業者は厳しい安全基準に準拠しなければならない。タンポンの多くは、レーヨンと綿の混紡でできており、まったく安全に使用できる。綿100%や有機綿のタンポンを売っているブランドもあるが、安全性や吸収性の面では違いはない。レーヨンを含むタンポンの方が、TSS発症リスクが高くなるという証拠はない。実際には、タンポンがどのくらい吸収できて、どのくらい長い間、膣に入れられているかが関係してくる、とデュエック博士は説明する。
加えて、タンポンは唯一の原因ではない。「膣内に長時間いれられるものはなんであれ、TSSなどの感染症リスクを増加させます」とデュエック博士は話す。タンポン以外には、月経スポンジ、月経カップ、ペッサリー、コンドームなどがある。
幸いにも、トキシックショック症候群のリスクを減らす方法はあり、早期に発見できれば治療できる。
生理中にいくつかの簡単な注意をすれば、TSSに感染するリスクを減らすことが可能だ。「最低限の吸収性があるタンポンを使用し、日に頻繁に交換し、8時間以上は装着しないこと。8時間もあればひと晩十分に眠れます。出血がひどい場合は、タンポン交換の頻度を増やすこと」とデュエック博士は話す。
また、タンポンは生理中のみ装着すること。「漏れるのがいやで毎日タンポンをつけているという女性が多く運び込まれてきます。絶対にやめてください」とデュエック博士は話す。長時間、月経カップであれなんであれ、膣に入れていると、TSSに感染する危険がある。
最近では、月経カップがタンポンに変わる安全なものとして宣伝されているが、TSSに繋がる可能性があるという新しい証拠が出てきている。なので、月経カップを使うときも、タンポンを使うのと同じように、つまり、長時間使用しないで、頻繁に中身を捨てるようにする必要がある。
早期に発見できれば、TSSは抗生剤や点滴で治療できる、と博士は話す。「生理中にタンポンを使用していて、日焼けしたような発疹が出たり、突然の高熱や血圧低下の症状があったりする場合は、すぐに救急病院に行くか、医療措置を受けてください」とデュエック博士は結んだ。
https://www.buzzfeed.com/…/teen-died-toxic-shock-syndrome-t…