2017/08/15【マダニ感染症】マダニ媒介の感染症SFTS ここ5年で最多に
【マダニ感染症】マダニ媒介の感染症SFTS ここ5年で最多に
国立感染症研究所は、マダニが媒介するSFTS=「重症熱性血小板減少症候群」を発症したという報告数が、今月6日までに64人と統計があるここ5年間で最も多くなっていることを公表しました。
SFTS=「重症熱性血小板減少症候群」は主に、原因となるウイルスを持つマダニにかまれることで感染し、発熱や下痢などの症状が起きて、国内での致死率はおよそ20%に上っています。
国立感染症研究所によりますと、SFTSを発症したとして全国から寄せられたことしの報告数は、今月6日までに64人と、統計をとっているここ5年間で、最も多かった平成26年の61人をすでに上回っていることがわかりました。
都道府県別では、長崎県で10人と最も多く、次いで山口県と宮崎県で9人、鹿児島県で8人などと、九州や中国地方で多く、西日本を中心に17府県から報告されています。
このうち、大阪府と福井県ではことし初めて患者が報告されました。
報告数が最も多くなったことについて、国立感染症研究所の西條政幸部長は「SFTSへの認識が広がり、感染を疑うケースが増えたことが背景にあると見られる。一方で、マダニが増えている可能性もあり、11月頃までは草むらや林の中に入る時に長袖と長ズボンを着用するなど対策は十分にしてほしい」と話しています。
SFTSとは
SFTS=「重症熱性血小板減少症候群」は主に、原因となるウイルスを持ったマダニにかまれることで感染します。
SFTSは、6日から2週間の潜伏期間のあと、発熱やせき、それにおう吐や下痢など、かぜのような症状が現れ、重症の場合は、血液中の血小板が減少して出血が止まらなくなったり、腎臓の機能が低下したりして死亡することがあるとされています。
対症療法のみでワクチンなど有効な治療法はなく、国内での死亡率は20%に上っています。
感染を媒介するマダニは主に屋外の草むらや畑、森の中などに生息していて、農作業中や山の中を歩いているときにかまれることがあるとされています。
食品に発生する「コナダニ」や衣類や寝具に発生する「ヒョウヒダニ」などの家庭にいるダニとは種類が異なり、こうしたダニでSFTSに感染することはありません。
平成23年に中国でウイルスが特定され、新しく見つかった感染症です。国内では平成24年の秋に山口県内で死亡した女性が初めて確認された感染例で、その後、西日本を中心に毎年、患者が報告されています。
国立感染症研究所によりますと、SFTSは西日本で認識が広がり医療機関で感染を疑うケースが増えたため、報告される件数が増加する傾向にあるということです。
一方で、国立感染症研究所などの調査では、ウイルスを持ったマダニは東日本にもいることがわかっていて、感染者が東日本にいないとは言い切れないとしています。
また、マダニだけではなく、動物からヒトに感染したと見られる例もあります。去年、感染したと見られる野良猫にかみつかれた女性がSFTSを発症して死亡した例が報告されていて、国立感染症研究所はペットの犬や猫も感染しないよう気をつけてほしいとしています。
SFTSはマダニの活動が活発な春から秋にかけて患者が増え、11月に入っても感染する例があるということです。
国立感染症研究所は、農作業や行楽などで草むらや林の中に入るときには、長袖のシャツを着たり、長ズボンをはいたりして肌の露出を抑えるなどの対策を取って、感染を予防してほしいと呼びかけています。
http://www3.nhk.or.jp/ne…/html/20170815/k10011100641000.html