2021/03/10【新型コロナウイルス:COVID-19】ファイザー製ワクチン、ブラジル型変異ウイルスに効果 /アメリカ
ブラジルを由来とする新型コロナウイルスの変異ウイルスに対し、米ファイザーと独ビオンテックが共同開発したワクチンが有効であるとの研究結果が発表された。同ウイルスは感染力が高く、世界保健機関(WHO)が警戒を呼びかけていた。
米テキサス大やファイザーの研究者らが執筆し、米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)」に8日に掲載された論文によると、ファイザー・ビオンテック製ワクチンのブラジル型の変異ウイルスに対する効果は、通常のウイルスに対するものと「ほぼ同等だった」としている。
昨年12月にブラジル北部マナウスで発生したとされるブラジル型の変異ウイルスは従来型と比べて1.4倍から2.2倍広まりやすく、既に感染して得た免疫を25~61%避けられるとの報告もあった。既に欧米や日本を含む世界各国で感染が確認されており、対策が急務となっていた。
ブラジル型の変異ウイルスに対しては、英アストラゼネカ製のワクチンも効果が見込めるとの研究結果がブラジルの研究機関フィオクルス財団の予備調査によって明らかになっている。一方、現在ブラジルで主流の中国科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)製のワクチンについては、サンパウロ大学などの研究者らが発表した査読前の論文で有効性に疑問符がつけられている。
ブラジルの新規感染者数は足元で1日8万人を超える日もあり、米国を抜き世界最多となっている。ワクチンの確保で出遅れており、抑え込みに失敗すればさらに新たな変異ウイルスが誕生する可能性もある。ボルソナロ大統領は8日、ファイザーのワクチンについて「我々は契約を結びたい」と述べたものの、実際にどれくらい輸入できるかは不透明な状況だ。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN09DCX0Z00C21A3000000/