2021/02/24【新型コロナウイルス:COVID-19】会食で感染広げたかも悔やむ男性 /東京都
新型コロナウイルスに感染した都内に住む男性が、自身の体験が感染予防に役に立てばとNHKに情報を寄せてくれました。
会食で自分が同僚などに感染を広げてしまったかも知れないと悔やむ男性は「長時間じゃなければと油断し、マスクを外して声も大きくなってしまった」と振り返りました。
取材に応じてくれたのは、都内で劇団の演出家として活動する60代の男性です。
先月上旬、新型コロナに感染し、入院中に血液中の酸素の値が下がるなど状態が悪化したほか、現在も足のしびれなど後遺症とみられる症状に苦しんでいるということです。
男性は発症から退院までの経過をスマートフォンに記録していました。
それによりますと先月10日に発熱し、味覚やきゅう覚にも異常を感じたことからPCR検査を受けたところ、感染が確認されました。
2日間の自宅待機を経て入院することになりましたが、40度近い熱のほか激しい頭痛などが続き、一時、中等症の状態まで容体が悪化したといいます。
男性は死を意識し、親族らに身辺の整理をお願いしたうえで「覚悟してください」などとメールを送ったり、感謝を伝える動画を送ったりしました。
当時の心境について男性は「ここまで短時間で病状が進むとは思っていなかった。いつ急変するか分からない未知の病気だけに死を覚悟した」と明かしました。
その後、投薬治療などの結果回復に向かい、入院から10日目に退院することができましたが、1か月ほどたった今も味覚やきゅう覚が半分ほどしか戻っていないほか、両足のしびれなどの症状が続いていて、仕事にも支障が出ているということです。
さらに男性は同僚の劇団員らに感染を広げてしまったかも知れないと、悔やんでいます。
男性は発症の2日前に4人の劇団員らで稽古を行い、稽古が終わると都内の焼き肉店で会食をしたということです。
個室に2時間ほど滞在し、広いテーブルで1メートル以上の間隔をあけて座るなどの対策を取ったということですが、食事中はマスクを外し、話が弾んで声が大きくなってしまったと振り返ります。
会食に参加した4人が検査を受けたところ3人の感染が判明し、このうち1人は症状は軽かったものの、けん怠感や声が出づらい症状が残っていて、劇団の活動にも支障が出ているということです。
一方、会食の翌日に男性の自宅で1時間半ほど会議をしましたが、マスクをしていたためか、参加した3人のなかで会食に参加していた1人を除き、感染が確認された人はいませんでした。
男性は「会食で私がマスクを外してしゃべっていたことが原因としか考えられない。新年早々で長時間の会食じゃなければと油断してしまった。『これだけ対策を取っているのだから感染しないだろう』と自分で勝手に理屈をつくっていた。酒が入ると気が緩んで声が大きくなるし、身を乗り出してしゃべってしまうこともあるので、感染を広げてしまうリスクが高くなると思う」と振り返りました。
そのうえで、みずからの体験や後悔の気持ちを多くの人に知ってもらい、感染予防に役立ててほしいと話していました。