新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、千葉県の外国人向けの相談窓口には「病院に行ったが外国語への対応ができないと言われた」といった相談が相次ぎ、外国人への対応の課題が浮かび上がっています。
「千葉県国際交流センター」は千葉県の委託を受けて、発熱などの症状を訴える外国人からの電話相談を受け付けていて、先月からは発熱外来などへの紹介も行っています。
センターには、ことしに入ってから症状を訴える外国人からの相談が相次ぎ、20日までに23件に上ったということです。
具体的には「病院に行ったが外国語には対応ができないと断られた」とか「ふだんからかかりつけ医がないのでどこに行ったらよいか分からない」といった相談が目立ち、症状が出たときにどのように対応してよいか分からない外国人が多いということです。
こうした相談に対して、センターでは対応できる最寄りの医療機関の紹介や、医療機関で症状を医師に伝える際に電話を通じて12か国語の通訳を行うなどの支援を行っています。
緊急事態宣言が出ている間は対面での相談を休止していますが、電話相談は無料で受け付けているということで、国際交流推進員の原恵子さんは「病院の紹介や通訳もできるので気軽に相談してほしい」と話しています。
「千葉県国際交流センター 千葉県外国人相談」
043ー297ー2966
千葉県八千代市のクリニックでは、年末年始から外国人が新型コロナウイルスへの感染が疑われる症状を訴えて来院するケースが急増していますが、現場での意思疎通などがうまくいかず混乱が起きたこともあったということです。
このクリニックでは、院内での感染を防ぐために発熱外来とそれ以外の通常の診察の時間をわけています。
入り口には去年9月から英語で、診察時間を分けていることや、混乱を避けるために発熱がある人はまず電話をかけてから院内に入ることを伝える看板を設置しています。
しかし、英語圏以外の人には伝わらず、感染者が急増したこの年始には新型コロナウイルスの感染者や濃厚接触者になっている外国人が、発熱外来ではない時間に院内に入ってきてしまったケースもあったということです。
院長は「熱があるにもかかわらず、連絡なしに院内に入ってきてしまって、受付がパニックになったことがあった。言語が通じないことで、こうした事態になってしまうリスクは高いと感じる」と話していました。
こうした状況をうけて、このクリニックでは年始から英語や中国語、ベトナム語などあわせて13か国語の問診票を入り口に用意したということです。
院長は「外国人の方に新型コロナウイルス対策の方法や医療機関へのかかり方の周知が十分されておらず、現場では混乱が起きている。情報の周知を徹底してもらいたい」と話していました。