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- 2020/02/18【新型コロナウイルス:COVID-19】屋形船 そのときの船内の様子とは… 新型ウイルス感染 /東京都
2020/02/18【新型コロナウイルス:COVID-19】屋形船 そのときの船内の様子とは… 新型ウイルス感染 /東京都
都内の個人タクシーの組合支部の新年会の会場となった屋形船。都内で、これまでに確認された新型コロナウイルスの感染者19人のうち12人は新年会の参加者や、その関係者でした。屋形船の中は、どのような状況だったのか。会場となった屋形船の会社や、個人タクシーの組合の関係者などに電話で話を聞かせてもらいました。
それによりますと、まず新年会が行われたのは先月18日。
中国 湖北省武漢で、当局による事実上の封鎖措置が行われた先月23日より前で、国内の日本人の感染者も出ていませんでした。
新年会に参加したのは、個人タクシーの組合支部の従業員や所属する運転手、それに家族や友人などの合わせておよそ80人。
それに屋形船の会社の従業員なども合わせると当時、屋形船には合わせて、およそ100人がいたといいます。
屋形船の中はテーブルが全部で12あり、わずかな幅の通路を挟んで縦に2列並べられていました。
1つのテーブルには6人ほどが座ることができ、隣の人との距離はかなり接近していて、トイレなどへの移動も大変なほど。
さらに従業員なども頻繁に狭い通路を行き来し、乗客の間から料理や飲み物を配膳していたといいます。
また、会の途中からはカラオケも行われ、中には歌を歌いながら船の中を踊って歩き回る人までいたといいます。
カラオケでは、同じマイクをみんなで使っていたとのことです。
新年会は2時間半のコースで、この日は雨が降って風も強く寒かったこともあり、屋形船の窓は、ほとんどが閉められていたといいます。
新年会からしばらくして、参加者の中に熱などの症状を訴える人たちが出るようになりました。
このうち、最初に感染が確認された70代の運転手は、1月29日に熱などの症状が出て都内の医療機関を受診。
その後も症状が改善されないため、今月3日に再び受診すると、肺炎の症状が認められ6日に入院しました。
そして13日に、新型コロナウイルスに感染していたことが確認されました。
さらに今月13日に、運転手の80代の義理の母親が死亡し、新型コロナウイルスに感染していたことがわかりました。
また、新年会のあと最初に感染した運転手以外にも運転手が1人、肺炎で入院していたということです。
ただ、この頃は組合の従業員や運転手などは新型コロナウイルスに感染しているとは思いもしなかったといいます。
関係者の1人は「屋形船での新年会はとても楽しく、よい思い出となっていたが、一緒にいた人の中から感染者がここまで相次ぎ、とても恐ろしい。いまだに事態が飲み込めず混乱している」と話していました。
一方、屋形船の会社でも従業員2人が新型コロナウイルスに感染していたことが確認されました。
このうち70代の従業員は先月15日ごろに、この会社の屋形船を利用した中国人60人ぐらいの団体客の対応をしていました。
従業員はこの時、屋形船の中で料理の配膳などを行ったということです。
そして従業員は、その3日後の18日の新年会でも、屋形船の中で料理の配膳などを担当していたということです。
この従業員は新年会からしばらくたって体調を崩し、先月下旬に病院に入院し、肺炎の症状が確認されました。
会社は、従業員が直近に中国人の団体客の対応をしていたため、すぐに保健所に連絡。
会社が従業員にくわしく話を聞くと「中国からの団体客の人に、どこから来たのか聞いたら『湖北省から』と言っていた。あまり話をせずに仕事をした」と話したということです。
従業員は入院先での検査で、いったんは陰性と言われたということですが、今月13日に改めて検査を受けたところ、翌日の14日に陽性であることが分かったということです。
屋形船の会社の関係者は「中国人の団体の関係者に確認をしたら、『湖北省の人はコロナに感染していない』との回答があった。どこから感染したのかわからない。私たちが感染源のように扱われるのはつらい」と話しています。
そのうえで「会社として影響は深刻で、国には、もっと徹底した水際対策を取ってほしかった」と話しています。
なお、感染経路の調査をする東京都は、今回の感染は空気の出入りのない比較的狭い閉鎖された空間で起きたものであり「屋形船が悪いというわけではない」と指摘しています。
https://www3.nhk.or.jp/n…/html/20200217/k10012289191000.html