2021/01/13【新型コロナウイルス:COVID-19】新型コロナワクチン 世界の状況や効果 WHOの見解は?
去年12月以降、世界各地で始まっている新型コロナウイルスのワクチン接種。ワクチンって、みんな打っていいの?効果がどのくらい続くの?
WHOが、専門家の諮問委員会の議長とともに7日に行ったオンライン会見のポイントをまとめました。
世界の全体状況
(問)
世界各地でワクチンの承認、接種が始まっています。新型コロナウイルスのワクチンをめぐる世界の全体状況は?
WHOの予防接種部門の統括 キャサリン・オブライエン氏
「状況は日々変わっています。この疾患に対する効果を示す多くのワクチンがあります。そして複数のワクチンが、異なる国々で承認されています。ワクチンは今、主に先進国で接種が始まっていますが、今後すぐに低所得国や中所得国でも始まるでしょう。
最も高い審査水準をもつ規制当局によって評価されたワクチンが、すでに少なくとも3種類あります。各国の規制当局は、安全性や病気を防ぐ効果に関するデータを確認し、製造の質も確かめます。3種類のワクチンは、アストラゼネカ、モデルナ、それにファイザーのワクチンで、これらは基準を満たしているとして、少なくとも1か国で承認されています。このほかにも、効果があるとする結果を公に発表している複数のワクチンがあり、それらのワクチンに関するデータを目にしているところです。中国のシノファームとシノバックのワクチンです。ロシアのガマレヤ研究所が開発したワクチンもあります。最も大切なのは、臨床試験を経たワクチンがたくさん出てきているということ、そして一般の人への接種に向け承認するため、私たちは今後、数週間、数か月間かけてデータを見ていき、データが十分かどうか確かめることです」
変異株に効果は
(問)
世界で今、変異株が広がっている。ワクチンは変異株にも効果がありますか?
キャサリン・オブライエン氏
「こうしたワクチンは、開発や試験の中で複数の異なる変異株に対しても効果があるかどうか、評価されました。ウイルスは常に変化するものです。それはウイルスにとって自然なことです。
問題は、ウイルスの変異が、病気そのものや治療方法、もしくはワクチンに影響を及ぼすかどうかです。世界各地で感染の広がりが懸念されている複数の変異株が確認されています。すでに開発されたワクチンの効果にも影響を与えるものかどうかは、今検証しているところです。しかし強い自信を持って言えるのは、すでにあるワクチンの接種をできるだけ早く進める必要があるということです。こういった変異は、ワクチンの効果を変えるものではないものだと考えられています」
既往歴のある人は
(問)
既往歴のある人もワクチンを接種していいですか?
アレハンドロ・クラビオト議長
「状況によります。確かなのは、ほかのワクチンで重篤な反応、アレルギー反応を起こしたことがある人は、受けるべきではないです。食べ物やほかのものに対するアレルギーがある人については、避ける必要はありません。しかし、ワクチン接種は、受けた人が重いアレルギー症状を起こした場合、効果的に、直ちに治療を行える場所で行うべきだと勧告します」
キャサリン・オブライエン氏
「基礎疾患のある人、つまり心臓や肺の病気を抱えている人、糖尿病の人や肥満の人は、新型コロナウイルスに感染した場合、ほかの人よりも高いリスクがあることがわかっています。こうした病気を抱えている人は、接種してほしい人たちです。
妊娠している女性にどのような影響を与えるのかどうかに関してはデータはありませんが、強調したいのは、これらのワクチンが妊婦や胎児に有害かもしれないということを信じる理由はないということです。妊娠している女性で上であげられた高いリスクのあるグループに属する人たち、特に医療従事者の場合には、接種をする側の人々と話し合い、リスクが高いと判断するのであれば、接種することにしていいと思います。
HIV感染者の人は接種を受けるべきだし、新型コロナウイルスに感染することで重症化するリスクの高い人は、だれもが接種を受けるべきです」
回復した人も接種すべきか
(問)
新型コロナウイルスに感染し、すでに回復した人も接種すべきですか?
アレハンドロ・クラビオト議長
「それは私たちが特に勧めていることです。PCR検査、抗原検査で陽性になった人も、ワクチン接種から除外すべきではありません。一度感染した人がどのくらいの期間、再び感染しないのかはまだわかりません。きのう(6日)発表されたデータでは8か月までは感染しないとありましたが、ワクチンの接種から除外すべきではありません。一方で、一度感染した人自身が、まずは高齢者が優先的に受けるべきだと考え、自分が接種を受けるのは待つというのであれば、それはそれぞれが判断すべきことです」
キャサリン・オブライエン氏
「アレハンドロの言うとおりです。ワクチン接種は世界で始まったばかりで、各国はまず、最も優先させるべき人たちから接種を始めています。すでに感染したことのある人は、少なくとも今後6か月間、再び感染する可能性は極めて低いでしょう。
ただ、WHOとしては、1度感染した人を、接種の対象外にしたり、感染したことがあるという理由で遅らせたりすることは勧めません」
1回目と2回目で違うワクチンは?
(問)
接種するワクチンは、1回目と2回目、別の製造者が作ったワクチンでもいい?
キャサリン・オブライエン氏
「すでにいくつかの国では、2種類以上のワクチンの使用が始まっていますね。1回目のワクチンとは異なるワクチンを2回目として接種していいかどうか、これについてのデータはないんです。
今の段階では、ファイザーなどのワクチンを1回目に接種した場合、2回目も、同じワクチンを接種すべきだと勧めます。いくつかの国では、2回目の接種は、1回目と異なるワクチンを使っているのを把握しています。これは研究すべきとても大事な分野であり、勧告を作るために、優先的に研究を進めるつもりです」
ワクチンの効果は
(問)
ワクチンの効果はどのくらいの期間続きますか?
キャサリン・オブライエン氏
「去年の春に臨床試験が始まったばかりで、まだ日が浅いので、臨床試験に参加した人たちを引き続き見ていくことで、どのくらい効果がもつのか見えてくるでしょう。それなので、まだわからないんです。持続性のある免疫が得られればいいと思っていますが。新型コロナウイルスに感染した人たちの免疫がどのくらい続くかもみています、これはもしかしたら、ワクチンを接種して得られる免疫の期間にも関係あるかもしれないので。今の段階で、ワクチンの効果がどのくらい続くか、説明するのは早すぎます」
15歳以下の子どもは
(問)
ファイザーなどのワクチンについては、接種を受けられるのは16歳以上だということですが、15歳以下の子どもたち、赤ちゃんはどうすればいいですか?
キャサリン・オブライエン氏
「研究は今も続いています。臨床試験は16歳に満たない人たちは除外されましたが、今、12歳から16歳までの子どもたちへの効果を見ようという研究が進んでいます。ですので、将来的には、情報が出てくるはずです。諮問委員会としては、データがないので、16歳に満たない人は接種を受けないよう推奨しています。
しかしWHOとしては、状況に応じて、ワクチンの接種の従事者が、持病がある子どもについて、家族と相談し、新型コロナウイルスに感染することで非常に深刻な病状に陥るリスクがある可能性がある場合には、接種を受けることを選択してもいいと思います。ただ、推奨はしていません。いかなる環境でも、はいどうぞ、と言っているわけではありません」