新型コロナウイルスの感染が広がる中、認知症の人の生活が変化したことで状態が悪化したと答えた施設などがおよそ40%に上ることが、全国の介護施設などを対象にした調査で分かりました。
この調査は、広島大学と日本老年医学会が、認知症の人が入所する全国945の介護施設や医療施設、それに在宅で暮らす人の介護支援にあたるケアマネージャー751人を対象に、6月から先月にかけて行いました。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う認知症の人の生活について尋ねたところ、家族・友人との面会が制限されたという施設がほぼすべての99%、外出が制限されたという施設が90%、在宅の人については、ほかの人とふれあう時間が減った、体を動かす時間が減ったというケアマネージャーがそれぞれ80%前後に上りました。
こうした変化により認知症の状態が悪化したと答えたのは、施設の39%、ケアマネージャーの38%となりました。
特に重度の人への影響が大きいことがうかがえ、「重い認知症の人で物忘れがひどくなった」とか、「不安を訴えるようになった」などの指摘が相次いでいました。
調査を行った広島大学大学院の石井伸弥教授は、「今後も感染が広がることを想定し、認知症の人に関わる医療・介護の関係者と家族が悪化を防ぐ対策を話し合う必要がある」と指摘しています。