2019/12/23【旋毛虫】クマ肉のローストで「旋毛虫」6人が食中毒 札幌のイタリア料理店 /北海道
札幌市南区のイタリア料理店で先月食事した客6人が、筋肉痛や発疹などの食中毒を起こしていたことが明らかになった。原因は冷凍したクマの肉に寄生していた「旋毛虫(トリヒナ)」だという。
食中毒が発生したのは、札幌市南区澄川のイタリア料理店「ラ フラスケッタ純や」。札幌市保健所によると、同店で先月10日に提供した「クマ肉のロースト赤ワインソース」を食べた30代から70代の男女6人が、同20日以降、あいついで筋肉痛や発疹などの症状で病院を受診していたことが判明。
「旋毛虫」は、オスは体長1.4〜1.6ミリ、メスは2〜4ミリの大きさで、ブタやイノシシ、クマ、馬肉、鹿肉のほか鳥類にも寄生し、米国では加熱不十分なソーセージが主な感染源となる。
死亡する場合も…
症状は寄生虫の成長に応じて3段階に分けられ、感染してから1〜2週目は成虫が小腸の粘膜に侵入して産卵する影響で、腹痛や下痢、発熱を起こす。その後、2〜6週目には幼虫が全身の筋肉に移動し、まぶたのむくみや筋肉痛、発熱などを発症し、重症化すると脳炎や心筋炎などを引き起こす。感染後6週目になると、硬い殻に包まれた幼虫によって、むくみがひどくなり、心不全や肺炎などをきたして死亡する場合もあるという。
国内では2016年に茨城県水戸市の飲食店で、生焼けの熊肉を食べた15人が食中毒に感染し、うち1人が入院し、35年ぶりの旋毛虫症が報告された。
厚生労働省などによると、この寄生虫は低温にかなり強いため、マイナス30℃で4カ月冷凍保存したクマ肉でも発症した例があるため、必ず中心まで75℃、1分間以上の加熱する必要があり、肉を切った後のまな板や包丁は洗浄、消毒するよう指導されている。
札幌市保健所は「純や」に対して、食品衛生法にもとづいて3日間の営業停止を命じた。