熱中症対策のため、こまめな水分補給が叫ばれているが、飲む「物」と「時」を間違えると、重大な病を引き起こす恐れがある。
「暑い時期になると、ついついペットボトルのスポーツドリンクなどをがぶ飲みしますが、これは危険です」(スポーツライター)
スポーツドリンクは、汗によって失われる塩分なども補給できるとあって、熱中症対策に有効とされているが…。
「空腹時に糖分の多い飲み物を飲むということを繰り返していると、低血糖の状態から急激に血糖値が高い状態になる。これで膵臓を疲弊させ、インスリン分泌不全を引き起こして、ついには糖尿病になるのです」
こう警鐘を鳴らすのは、山梨大学医学部名誉教授の田村康二氏だ。この症状は「ペットボトル症候群」と呼ばれ、近年、患者が増えているという。
「喉が渇いたら水を飲みなさい。それができないなら、せめてペットボトルの成分表示を見て、中にどれほどの糖分が含まれているかチェックすべきです」(同)
某スポーツドリンクに含まれる糖分は約6.7%で、500㎖中に約33・5グラムも含まれている。これは砂糖大さじ3杯以上にもなる。それをわずか数十秒で体内に流し込んでいるわけだ。
前出のライターが言う。
「ある力士は、朝稽古の後、空きっ腹にスポーツドリンクをがぶ飲みする習慣がついてしまい、気づいたら糖尿病になっていた。ペットボトル症候群は20代や30代に多いが、最近は運動不足の中高年世代にも増えているので注意が必要です」
ペットボトルには、別の危険も潜んでいる。
「開栓後に放っておくと、菌が増殖して食中毒を起こすこともあります。フタを開けたら、なるべく短時間で飲み、余ったら捨てたほうがいい」(前出・田村氏)
空腹時の一気飲みもダメ、長時間ちびちび飲み続けるのもダメ。ペットボトルとの付き合い方を考え直したほうがよさそうだ。