日本医科大学付属病院は2018年11月12日、同病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科の医師が肺結核に罹患していたことに関する調査結果と対応を公表した。同病院が保健所を含む関係機関と協議して決定した、当該医師の接触者健診の対象となる患者374人と最濃厚接触職員75人に健診を実施した結果、11人が検査陽性になったと報告している。
健診は、結核感染を診断するIGRA検査(インターフェロン-γ遊離試験)または胸部X線検査を行い、小児にはツベルクリン反応検査を行った。IGRA検査は、陽性を示した場合でも感染時期を判定することができないため、この11人が当該医師から感染したかどうかは判定できない。陽性者には個別に2次健診を行った。今後、結核の発病を予防する治療などを実施するという。
なお、陽性者を含め、接触健診対象者の全てで、発病者がいないことを確認。当該医師との最濃厚接触職員75人を含む全職員2099人に対する健診でも、発病者がいないことを確認している。ただし、初回IGRA検査陰性の患者については、IGRA検査が陽性化する期間が2~3カ月かかることを勘案し、再検査の案内をする。健診の結果、新たに発病者が見つかった場合や、潜在性結核感染症患者が複数見つかった場合は、保健所との協議の上、健診対象範囲の拡大を検討するとしている。
同病院は今後の対策として、全職員を対象とした感染対策に関する研修会・講習会を開催。患者とその家族に対し、「標準予防策」を基本とした感染対策遵守の徹底を改めて指示した。同病院職員は、定期健康診断を年1回以上受診し、B型肝炎やインフルエンザなどの予防接種に努めることを、改めて周知、徹底したという。病院は「これまでの産業医による健康チェックをより徹底し、職員の健康管理をより厳重に行ってまいります」とコメントしている。