薬剤耐性菌により薬が効かず、肺炎球菌などが報告され、既に世界で少なくとも70万人が死亡したとの試算が出ている。この薬剤耐性菌について、中国、韓国、フィリピン、オーストラリアなどのアジア太平洋地域の保健担当の官僚らと対策を話し合うとし、東京都内で会議が開かれた。
共同声明では、薬剤耐性菌を緊急に対策を講じる必要がある”公衆衛生上の脅威”との認識で一致。抗菌薬の使用量を2020年度までに現在の3分の2へと減らす目標を発表した。
薬剤耐性菌とは、細菌感染を発症した場合、通常であれば患者自身の免疫力が働く事により細菌を体内から排除しようとするが、患者自身の免疫力が不十分で、自ら細菌の排除が困難であると専門医が判断した場合のみ抗菌薬の使用を指示される。
抗菌薬は長期間使用したり、患者の自己判断で専門医の指示とは違う使用方法をする事により、必要以上の抗菌薬を体内に入れると、病原菌が抗菌薬に徐々に慣れてしまう。すると、薬剤耐性菌が発生しやすくなり、感染症の治療が困難になるのだ。
薬剤耐性菌による感染症は誰もが起こりうる可能性があり、特に免疫力が低い子供、高齢者、入院患者は更に深刻な問題に繋がる可能性が高く注意が必要である。
耐性菌による感染症の治療の方法としては、薬剤感受性試験を行い、どのような抗菌薬が有効であるか確認したのち、試験の結果を踏まえて治療が行われる。
抗菌薬を使用する際の注意点としては、専門医の指示通りに決められた時間・量を守り、症状が改善したと思っていても自己判断で抗菌薬の服用を中止しない事。途中で服用を中止する場合も専門医の相談する必要がある。以前処方され自己判断で服用を中止し、抗菌薬を自宅に残しているケースも多く、同じ症状もしくは他の感染症の病気にかかった時に、勝手に服用してしまう事例もある。
専門医は感染症ごとに抗菌薬が必要かどうか、その時の感染症に合わせた抗菌薬の種類、服用量を判断している。抗菌薬は他の薬の作用に影響をおよぼす可能性がある為、とにかく自己判断での使用は避けるべきである。(編集担当:久保田雄城)
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