【衛生管理】小樽市立病院 医療用ホチキス、患者48人に使い回し /北海道
北海道小樽市の小樽市立病院(近藤吉宏院長)が2016年以降、脳神経外科手術で医療用ホチキスを40~90代の患者48人に使い回していたことが判明した。ホチキスは使い捨てで、再利用は血液などを通した感染の恐れがあるため厚生労働省が昨年まで計4回にわたり使い回さないよう全国に通達していた。しかし、同病院では医師らが「アルコール消毒すれば問題ない」と判断していたという。
同病院の金子文夫事務部長が23日、記者会見で明らかにした。48人について現時点では被害を確認していないとしたが、全員の血液検査をし、感染の有無を確認する方針。
会見によると、48人は北海道、福島、中国・香港の在住者で、脳腫瘍や脳動脈瘤(りゅう)などの手術の際、脳波検査用の医療器具を頭皮に固定するためホチキスを使用。35針入りホチキスを10人弱に使い回してから、新品に交換していた。一方で、傷口の縫合など血液感染の恐れがある時は廃棄していたという。
使い回した理由については、現場の医師らが「頭皮に器具を固定するだけなのでアルコール消毒すれば問題ない」などと判断していたという。脳波検査用の医療器具の固定にホチキスを使用し始めたのは16年8月で、それ以前は使い回しはなかったとしている。
今年4月に看護師が使い回しを不審に思い、発覚した。他の器具で不適切な使い回しは確認されなかったという。経費節約の狙いがあったかは「不明」とした。
医療用ホチキスなど使い捨て器具については、厚労省が04~17年、計4回にわたり再使用しないよう通達していた。金子部長は職員の処分などを検討するとし、近藤院長は「今後は医療機器の適切な使用を徹底する」とコメントした。