2017/04/12【象皮病】足がゾウみたいになる病気「火山の土のせいだった!」ウガンダ 陰嚢の巨大化も…
【象皮病】足がゾウみたいになる病気「火山の土のせいだった!」ウガンダ 陰嚢の巨大化も…
現代の日本では根絶しているため、見聞きすることはほとんどないが、江戸時代には全国に手足などの皮膚がゾウのように硬くこわばって腫れ上がる「象皮病」という病気がはびこっていた。蚊が媒介するフィラリアに寄生されることで、末端の体液が滞ってむくみが生じる病気で、葛飾北斎の浮世絵にも象皮病の患者が描かれているほか、西郷隆盛も晩年に感染し、陰嚢が人の頭大に腫れ上がったと伝えられる。
世界保健機関(WHOアフリカ)の推計によると、世界54カ国で9億4700万人もの人が象皮症による障害や奇形で苦しんでいるとされるが、東アフリカのウガンダで2015年9月、1カ月間で52人が感染する大流行が起きた。
地元では「ゾウの糞を踏んだから病気になった」などという噂が拡散したが、ウガンダ保健省はこのたび、米国の熱帯病専門誌『American Journal of Tropical Medicine and Hygiene』で、原因は寄生虫ではなく、火山から噴出した鉱物が混じった大地を裸足で歩いたためだとする、これまでの定説を覆す報告を発表した。
研究チームが、足のかゆみや皮膚のこわばりを訴えた52人の患者の血液検査を行ったところ、40人では寄生虫感染が確認されなかった。フィラリアが原因の場合、片足が腫れるケースが多いのに比べて、ほとんどの患者は両足に発症し、蚊があまり生息しない標高1200メートル以上の乾いた高地に生息していたという。
患者からの聞き取り調査の結果、37人が農業に従事し、ほとんどが靴を履いたことがなく、屋内外に関わらず、1日中裸足で過ごしていることがわかった。そこで原因はフィラリアではないと考え、土壌サンプルを採集して分析した結果、火山性土壌に含まれる小さなガラス質の結晶が足の裏に刺激を与え、皮膚が角質化する「ポドコノシス」という病気だと断定した。
ポドコノシスは、火山堆積物由来の赤い粘土質の土壌で裸足で暮らす人に多く、アフリカではエチオピアやカメルーンでも50〜100万人以上が発症している。通常、ひざ下部分に象皮病と似た症状が現れるが、ウガンダのケースでは、陰嚢が巨大化して手押し車で運ばなければ移動できない患者も報告されているという。
この地区は、ウガンダとコンゴ、ルワンダの国境付近に位置するヴィルンガ山地から東へ80キロほど離れた村で、研究チームは250万年前の噴火のときの火山物質が農作業によって地表近くに掘り起こされたのが原因だと見て、この地区に住む農家に対して靴の使用や、作業後に足を洗う習慣をつけるよう呼びかけているという。