兵庫県尼崎市で今月9日、74歳の男性がフグの肝を食べて麻痺を起こし、医療機関に緊急搬送された。保健所の調べで、自分で釣ったフグを冷凍保管していたことが判明した。
尼崎市保健所によると、この男性は8日午後7時ごろ、サバフグの肝などを食べた2時間後、全身に麻痺や脱力感などの食中毒症状を起こし、翌9日午前2時半ごろ救急車で病院に運ばれた。
病院から通報を受けた保健所が調査した結果、男性自身が今年の夏に釣ったフグを自宅に持ち帰り、下処理のうえ、冷凍保管していた事実がわかった。現在も入院中だが、回復に向かっているという。
厚生労働省によると、国内では年間30件近くのフグによる食中毒が発生していて、そのほとんどが釣り人や素人が家庭で調理したのが原因だ。
フグの毒の強さは、種類と部位によって大きく異なるが、特に肝臓や卵巣などの内臓部分には高濃度の毒素「テトロドトキシン」が蓄積されており、加熱したり、水で洗っても分解しない。
テトロドトキシンを1〜2㎎摂取するだけで死に至り、その強さは青酸カリの1000倍以上だと言われている。必ず専門知識を持った処理責任者がいる「フグ処理施設届出済証」か「みがきフグ等取扱施設届出済証」を掲示した飲食店や販売店を利用してほしい。