【黄色ブドウ球菌】乳児に発生するブドウ球菌性熱傷様皮膚炎について
ブドウ球菌性熱傷様皮膚炎は、乳児に多く見られる皮膚感染症です。火傷をしていないのに火傷をした時の様に皮膚がただれて水膨れが発生し、次第に皮膚が剥がれ落ちていくことがあります。今回は、ブドウ球菌性熱傷様皮膚炎について解説します。
様々な病気の原因になる黄色ブドウ球菌 私達の皮膚には、常在菌という微生物が存在しています。常在菌とはその名の通り皮膚に常に生息しており、病気のもとになる細菌やウイルスの繁殖を抑える働きがあります。常在菌の代表的なものとして、黄色ブドウ球菌やアクネ菌などがあります。
通常は特に悪さをすることのない常在菌ですが、何らかの原因で体内に侵入すると病気を引き起こすこともあります。中でも、黄色ブドウ球菌は以下のように様々な病気の原因になります。
◆ブドウ球菌性熱傷様皮膚炎
◆骨髄炎
◆心内膜炎
◆肺炎
◆胃腸炎
◆伝染性膿痂疹(とびひ)
ブドウ球菌性熱傷様皮膚炎とは? 黄色ブドウ球菌により発生する皮膚感染症が、ブドウ球菌性熱傷様皮膚炎です。喉や鼻の粘膜で感染し、増殖した黄色ブドウ球菌は毒素を発生します。その毒素が血管内に侵入すると、血液と共に全身の皮膚に到達して炎症を起こします。
黄色ブドウ球菌の毒素が皮膚に到達すると、皮膚が赤くなり火傷のように水膨れやかさぶたが発生します。発熱を伴う場合も多く、眼の周りから順に赤みが生じます。また、目やにが増えます。
更に病状が進行すると、皮膚が次々に剥がれ落ちていきます。皮膚が剥がれ落ちる頃には既に回復期に入っており、約1週間前後で症状は落ち着きます。ブドウ球菌性熱傷様皮膚炎は通年性の病気ですが、特に秋に起こることが多く、発症するのは乳幼児が殆どです。
ブドウ球菌性熱傷様皮膚炎の治療法 ブドウ球菌性熱傷様皮膚炎を発症した場合は、原則として入院による全身管理が必要になります。火傷をしていないのに火傷のような症状が現れた場合は、すぐに病院を受診しましょう。
治療法は、抗生物質を投与し、皮膚は火傷が出来た場合と同様にガーゼ等を当てて対処します。ブドウ球菌性熱傷様皮膚炎は、ただれた皮膚から水分が失われて脱水症状が進むこともあります。