【B型肝炎】慢性炎症続くと肝硬変や肝がんに
大人のB型肝炎ウイルスの感染は「一過性感染」となる。急性肝炎のうち症状がある場合、感染から数カ月の潜伏期の後、倦怠(けんたい)感や食欲不振、吐き気などの自覚症状がある。「急性肝炎」のうち1%程度が「劇症肝炎」を引き起こすので要注意。劇症肝炎の致死率は60~80%。急激な肝臓の悪化によるその症状は、黄疸(おうだん)や意識障害、起き上がれないほどのだるさ、強い吐き気など。肝臓移植が必要になることもある。ちなみに出産時や幼児期からの持続感染は、「慢性肝炎」を発症する危険性が高い。
一過性感染による急性肝炎から慢性肝炎(慢性化)へとたどるB型肝炎について、肝炎に詳しい東京医科歯科大学消化器内科「肝炎・肝がん撲滅外来」の朝比奈靖浩教授は「ウイルスの持続感染で引き起こされる肝臓の慢性炎症は、何年も炎症が続くことで線維化がすすみ、肝硬変や肝がんになることが問題です」と指摘した。
大人のB型肝炎ウイルス感染の場合、急性肝炎を発症し、一過性感染で済む経過を歩むのが一般的。その1~2%が急性肝炎から慢性肝炎へ移行する。しかし近年、急性肝炎の中にこうした慢性化しやすいタイプが増えているという。カギとなるのは、B型肝炎ウイルスの「遺伝子型(ゲノタイプ)」だ。
朝比奈教授が続ける。「B型肝炎ウイルスには、遺伝子型が亜型の“I”を除いて、AからJまで9つの種類があります。もともと日本では“C”、および“B”が主に存在していました。ところが、2000年ごろから急性肝炎に占める“A”の割合が増えてきたのです」。
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