【アニサキス】アニサキス、九州のサバも要注意 すぐ内臓を取り除き、よくチェック
猫の小町と申します。皆さんがお困りのことをたちまち解決していきます。サバやアジなどを生で食べた人に、寄生虫のアニサキスによる食中毒被害が確認されるケースが全国で急増しています。家庭ではどんな点に注意すればいいか、鮮魚市場で働く専門家にお助けいただきます。
大の青魚好きだった俳優の故森繁久弥さんが公演先の名古屋でバッテラを食べて激痛に襲われ、開腹手術を受けたのをご記憶の方もいらっしゃるのでは。この時の原因もアニサキスでした。酢でしめたからといって安心はできません。いや、九州のサバは大丈夫だから、という話もよく聞きますが、実際のところはどうなのでしょう。
そこで福岡市食品衛生検査所で、鮮魚市場係長を務める佐野由紀子さん(53)を訪ねました。博多の郷土料理のごまさばが大好きという食品衛生監視員です。業務用の大きな冷蔵庫から2日前に対馬沖で水揚げされたサバを取り出し、さっそく腹を切って見せてくれましたが、いるわいるわ。内臓の上に丸くなってうずくまるアニサキスの幼虫が…。
「個体差はありますが、九州のサバにもアニサキスはいます。ただし、最近の調査では、太平洋側と日本海側のアニサキスでは種類が違うことが分かっています。太平洋側のものは宿主の魚が死んだ後に、生き残ろうとして内臓から筋肉(身)に入り込みますが、ピグレフィーという日本海側の種類にはそうしたケースは少ないです。それでも食中毒がゼロかというと、そういうわけではないんです」
昨年、福岡市では27件の食中毒が報告されましたが、うち8件はサバやアジなどに寄生したアニサキスが原因でした。食べた場所は飲食店と家庭が半々です。ですから佐野さんのお話、刺し身を扱うお店の方もぜひ聞いてくださいね。
「お店で買ったにしろ、釣ってきたにしろ、生で食べたいなら、新鮮なものでもすぐに内臓を抜いてしまうこと。その上で内臓付近の筋肉をよく見て、逃げ込んだアニサキスがいないか確認してください。長さ2~3センチのものが丸まっていますが、十分に視認できる大きさです。もしいたなら、生で食べるのはあきらめましょう」
アニサキスは加熱すれば60度以上で1分、70度以上ならすぐ死ぬとのこと。冷凍する場合はマイナス20度以下で24時間以上おけば大丈夫ですが、一般的な家庭の冷蔵庫の場合、冷凍室の温度はそこまで低くならないので加熱が無難でしょう。
ただ電子レンジで加熱する場合は注意が必要です。レンジは食品の表面に塩分濃度の高い調味料が塗られるなどしていると、電磁波の当たり具合にむらができて一部に熱が通りきらないこともあるそうです。もちろん、酢じめやしょうゆ、わさびもアニサキスには効きません。「幼虫は人間の胃液にも耐えることを忘れないでください」
それでもアニサキスにやられたかなと思った場合は、内視鏡検査ができる病院に行ってください。アニサキスの食中毒には自覚症状のない軽いものと、劇症の2通りがあります。幼虫が胃の壁に突き刺さっている場合は食事後8時間以内に激しい痛みや吐き気などを起こし、腸壁の場合は数時間から数日後に発症します。アニサキスは本来、クジラやイルカに寄生して成虫になる生き物。人間の体内で成虫になることはありませんから、どうかあわてずに。
https://www.nishinippon.co.jp/…/tachimachi_…/article/333853/