2017/05/17【アニサキス食中毒】都会でも増えるアニサキス、「新鮮」に潜む落とし穴
【アニサキス食中毒】都会でも増えるアニサキス、「新鮮」に潜む落とし穴
近年、魚の生食などによって発生する、アニサキスという寄生虫による食中毒の報告が急増しており、大きな問題となっています。厚生労働省の発表している食中毒統計資料によると、2016年のアニサキスによる食中毒の報告件数は124件で、2007年における報告数の20倍以上となり、ノロウイルス(354件)、カンピロバクター菌(339件)に次ぐ、第3位の原因微生物となっていました。
しかし、これらの件数は、あくまでも医療機関から発生届のあった報告数であり、それ以外にも多くの未報告例もあることが指摘されています。国立感染症研究所が行った調査では、病院の患者33万人における診療報酬明細書データによる試算で、年間に約7000件のアニサキス食中毒が発生していると推計されました。つまり、報告されている件数は「氷山の一角」であり、それよりも 遥はる かに多いアニサキス食中毒が、全国で発生しているということなのです。
身近な魚に寄生
アニサキスは、長さ2~3cmの白い幼虫として、サバ、サンマ、アジ、カツオ、イワシ、サケ、イカなど、いろいろな種類の魚介に寄生しています。一般的なスーパーなどで買ってきた魚でも、その内臓や身をよく探してみれば、白い糸のようなアニサキスの幼虫が、小さくとぐろを巻いて住んでいる姿がみつかることがあります。アニサキスは、魚の内臓が大好きで、ふつうは内臓を中心に寄生しています。しかし、魚の内臓の鮮度が落ちてしまうと、刺し身などで食べる魚の身(筋肉)の方に移動する傾向があります。
胃や腸に激痛
アニサキスは、胃や腸の壁に入ってしまうことで、強い腹痛や 嘔吐おうと を起こすことがあります。腹痛は想像以上の激痛となることもあり、緊急手術を必要とするような虫垂炎や胆石症などと間違えられることもあるほどなのです。
アニサキスを駆除する有効な治療薬はありません。胃のアニサキスの場合には、内視鏡検査で胃の壁に頭を潜り込ませている幼虫をみつけて、直接つまみ出すことで治療しています。