2018/05/17【エボラ】エボラ出血熱流行、コンゴ民主共和国の都市部に広がる /コンゴ
【エボラ】エボラ出血熱流行、コンゴ民主共和国の都市部に広がる /コンゴ
コンゴ民主共和国のオリ・イルンガ・カレンガ保健大臣は16日、北西部の都市ムバンダカでエボラ出血熱を確認したと発表した。同国でエボラ出血熱が地方から都市部に広がっていることを示し、流行の抑制が加速度的に難しくなる恐れが増している。
カレンガ氏は、今月初旬に同国で最初にエボラ出血熱が確認された地域から約130キロ離れたムバンダカでも、エボラが見つかったと認めた。同市の人口は約100万人。首都キンシャサへ続く交通機関の主要な拠点だ。
現在までに42人が感染し、23人の死亡が確認されている。
エボラ出血熱は、感染者に内出血を引き起こし、死に至らしめることも多い、深刻な感染症だ。少量の体液を経由して素早く急激に広まる可能性がある。インフルエンザに似た初期症状は、常にはっきりと現れるわけではない。
エボラ出血熱では2014年から2016年の間に、ギニア、リベリア、シエラレオネなどで約1万1300人が亡くなった。
世界保健機関(WHO)のピーター・サラマ事務局次長は、感染が大都市に及んだことはエボラ流行の「爆発的拡大」の可能性がある状況だと意味していると述べた。
「これは流行の大きな展開だ」とサラマ氏はBBCに語った。
「都市部でのエボラは、地方におけるエボラとは意味が大きく異なる。いまや爆発的拡大の可能性が出てきている状況だ」
WHOで緊急事態への準備と対応の責任者を務めるサラマ事務局次長は、交通に広く使われているコンゴ川流域というムバンダカの位置関係が、コンゴ共和国や中央アフリカ共和国などの周辺国や、コンゴ川下流域にある人口1000万人の首都キンシャサにエボラを拡大させる見通しを強くしているとも指摘した。
同氏は「この位置関係によって、今回のエボラ流行への見方がまったく変わる。新しい集団感染伝染の初期兆候を阻止するため、ムバンダカに急ぎ入らなくてはと危機感が高まっている」と述べた。
WHOによると、エボラ出血熱の感染者は、確認された人、可能性の高い人、疑いがある人を合わせて、コンゴ民主共和国エクアトゥール州の3つの地域で記録されているという。
WHOは保健担当者が、エボラに接触した可能性がある人430人を特定し、コンゴ民主共和国の北西部で増えているエボラ患者との接触者4000人を追跡しようと取り組んでいると明かした。
サラマ氏によるとこれらの人々の多くは、バイクでしかたどり着けない地域にいるという。
WHOが手配した治験段階のワクチン4000ダース以上が16日に同国へと届けられた。追加のワクチンもまもなく到着の見込みだ。
製薬会社メルク製のワクチンは認可を受けていないが、西アフリカでエボラが流行した際、限定的治験で有効だった。
このワクチンはマイナス60度から80度の間で保管される必要があるが、コンゴ民主共和国の電力供給は信頼性が低い。
専門家は、人員の派遣や医療資材の投入など、国際組織による迅速な対応は、今回の流行がとても深刻に受け取られていることを示したと指摘する。
米ニューヨークを拠点とするエボラ出血熱の専門家、ローリー・ギャレット博士はBBCに対し、「大変な遠隔地に届けるための、具体的な諸問題問題は相当なものだし、この広大かつ困難な地域で誰がワクチン接種を受けるべきで、誰を搬送すべきか現場で判断するのも大変だろう」と話した。
「感染が爆発状態にある最中に、こうした対応をとるのは初めてなので、非常に注意深く見守るつもりだ」