【サトイモの疫病】宮崎サトイモ、ピンチ 疫病流行で収穫激減 /宮崎県
全国有数のサトイモ産地宮崎県で、サトイモの収穫が激減している。疫病が猛威を振るっているためで、2015年には、5年続いていた生産量全国トップの座を明け渡した。県などは防疫対策を進めているが、今のところ抜本的な解決法は見いだせず深刻な状況が続いている。
疫病の原因は「フィトフトラ コロカシエ」というサトイモの仲間にだけ感染するカビ。イモの残りくずの放置などが発生源とされ、水しぶきや強風で胞子が拡散し、感染すると葉や茎が枯れるという。宮崎県では14年に初めて感染が確認され、翌年には県内全域に広がった。
農林水産省などのまとめでは、日本一だった宮崎県の10~14年の生産量は1万9700~2万5900トンだったが、15年は1万3千トンまで減少。10アール当たりの収量は1・06トンと、最多の愛媛県(2・18トン)の半分以下となった。
疫病対策として、新たに登録された農薬の散布が今年から可能になったが、対症療法的で発生源の根絶には至っていないのが現状。サトイモは露地栽培が基本で、JAなどに所属していない小規模農家が生産するケースも多く、周知の難しさがあるという。
このため宮崎県などは生産団体だけでなく、市場や加工業者にも防疫対策マニュアルを配布し、出荷先から各農家へ情報を伝える作戦を展開。抑え込みに躍起だ。県農産園芸課の吉野史男主幹は「影響は深刻化している。何とか疫病を食い止め、生産量の日本一を奪還したい」と話している。
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/science/article/326406