【スーパー耐性菌】WHO、動物への抗生物質の使用回避を訴え スーパー耐性菌の脅威拡大を懸念
世界保健機関(WHO)は7日、ヒトの命にかかわる病気への抗生物質の効果を維持するため、農業・畜産関係者らに対し健康な動物への抗生物質の使用をやめるよう強く求めた。
ヒトや動物への抗生物質の乱用や誤用は、「スーパー耐性菌」の脅威拡大の一因となっているという。スーパー耐性菌は既存の医薬品が効かず、軽症や一般的な感染症でも死に至る疾患となる可能性がある。
研究者らは、2050年までに抗菌薬耐性が原因による死者数は世界で5000万人に上ると試算しており、対策が必須とされている。
WHOのマーク・スプレンガー氏は電話による記者会見で、「人々が(普通の)感染症で死ぬことになる」と述べた上で、感染症のリスクが非常に高くなるため、人工股関節置換手術といった一般的な施術を行うことも不可能になると警告した。
抗生物質は健康な動物の成長を促し、病気を予防するために長い間、使用されてきた。WHOによると、一部の国では医学的に重要な抗生物質の約80%が動物に対して使用されている。
WHOは、動物の病気予防には衛生状態を改善したり、ワクチンをうまく活用したりするなど他に多くの選択肢があると強調している。