2020/07/03【ノロウイルス】学校給食による3453人の大量食中毒発生 原因は海藻サラダの可能性 /埼玉県
埼玉県は八潮市の小中学校で給食を食べた児童・生徒らが病原大腸菌による食中毒になったと発表。しらべぇ取材班は、県、教委、給食センターから話を聞き、その原因を探った。
■大量の児童・生徒等に食中毒症状が
埼玉県食品安全課によると、6月28日午前中、八潮市内医療機関から草加保健所に「八潮市内の複数小中学校の児童生徒が、腹痛・下痢等の食中毒様症状を呈して受診している」との通報があったため、調査を開始したという。
調査対象者は、八潮市内小中学校15校の児童生徒及び教員合計?6,922名で、うち3,453名に腹痛や下痢などの食中毒症状が出た。また、検査した児童・生徒ら17名中12名の便から病原大腸菌が検出された。
■原因は26日に出された給食
食中毒の症状が出る前に、有症者が共通して食べたものは、6月26日12時に出された給食のみ。そのメニューは、?鶏の唐揚げ、ツナじゃが、海藻サラダ、ごはん、みそ汁だった。
県は、この給食を調理した協同組合東部給食センターに、食品衛生法第6条にもとづき、7月2日から7月4日までの営業停止処分を下した。なお、草加保健所は、6月29日と7月1日に立ち入り検査を実施したが、施設の拭き取り調査や調理工程等には不備は見つからなかったという。
県は、給食メニューのサンプルを検査するなど、引き続き原因究明を続け、また、施設の消毒や教育を実施していくとのことだ。
■調理を業者に業務委託している
八潮市教育委員会によると、6月27日から生徒や児童が相次いで下痢や腹痛などの症状を訴え、29日には全児童生徒の5.8%にあたる377人が欠席したという。教委がメニューの献立を考えて、協同組合東部給食センターに調理をすべて業務委託している。
今回の影響で、10日までは、給食をストップさせて、弁当を持参させるという。13日からの週については、現在検討中とのことだ。
■現在考えられる原因はワカメ
協同組合東部給食センターは、創業50年を超えるが、今までに一度も食品事故を起こしたことがなかったという。また、衛生管理も徹底し、幼稚園児等の工場見学も受け入れている。年一回の保健所の立ち入り検査でもこれといった指摘はされていないとのことだ。
現在までに原因として考えられているのが、海藻サラダに入っていたワカメだ。乾燥ワカメを水で戻してサラダとして使用していた。病原大腸菌は熱で死滅するが、この工場で、熱処理していないのは、ワカメと生野菜のみ。
そのため、今後乾燥ワカメは、お湯で戻す方法に変更する。また、生野菜の調理工程についても、見直しを実施するそうだ。
■よく洗いよく加熱することが大事
最後に埼玉県は、病原大腸菌による食中毒防止について、「生野菜などはよく洗い、肉は中心部の赤みがなくなるまでしっかり加熱してから食べる。また、生肉を調理した後は手や調理器具をよく洗うことが大事」とアドバイス。