【マダニ感染症】ダニ媒介脳炎、愛媛も可能性 全国ウイルス調査
北海道大と国立感染症研究所でつくる研究グループの調査で、国内では北海道特有の病気と考えられてきた「ダニ媒介脳炎」を引き起こすウイルスが、愛媛を含め全国に存在する可能性があることが19日までに分かった。
研究グループの北海道大大学院獣医学研究院の好井健太朗准教授などによると、ダニ媒介脳炎はウイルスを保有するマダニにかまれることで感染する。頭痛や発熱が起き、重症化すると脳炎になり、精神錯乱や昏睡(こんすい)、けいれんなどの症状が表れる。致死率は最大3割で、回復しても約半数に運動障害や知覚障害などの後遺症がみられるという。人から人に直接感染はしない。
国内では北海道で1993年と2016年に各1例、17年に2例の計4例が報告され、うち2人は死亡した。
北海道以外では調査が行われていなかったため、研究グループは16年秋から全国調査を開始。西日本を中心とする19府県の野生のイノシシやクマ計299頭の血液を分析し、約13%に当たる10府県の計40頭からダニ媒介脳炎のウイルスか、それに近いウイルスに感染したことを示す抗体が見つかった。愛媛の41頭のイノシシからは約39%に当たる16頭で抗体が検出された。
好井准教授は、ダニ媒介脳炎はユーラシア大陸の中部から北部の全域にかけて流行しており、世界で年間1万人前後の感染報告があるとし「国内ではまだ知られていないだけで、ウイルスが北海道だけでなく全国に存在する可能性がある」と指摘。
「やぶや山の中に入るときは長袖を着るなどダニにかまれないよう注意し、かまれたときは医療機関を受診してほしい」と呼び掛けている。
https://ehime-np.co.jp/article/news201712200024