2019/11/20【マダニ感染症】マダニ感染症が過去最多に 初の100人超えか ペットからの感染に注意
マダニが媒介する感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の今年の患者数が、統計を取り始めた2013年以降、初めて100人を超える勢いで増えている。国立感染症研究所が19日発表した患者数は、過去最多だった17年の90人を超える96人。致死率が高く、ペットから感染する危険もあるため、注意が必要だ。
SFTSは11年、中国の研究者らが原因となるウイルスを発見した。感染すると6日~2週間の潜伏期を経て発熱、下痢、下血などの症状が表れ、致死率は30%との報告もある。治療は対症療法しかなく、ワクチンもない。
感染研は13年から医療機関に全患者の報告を求めており、初年の40人から患者数は増加傾向にある。感染の拡大ではなく、新たな感染症として認知されるようになったのが要因とみられる。今年10月末までの累計患者数は491人で、届け出時点で70人が死亡。その後に死者は増えている可能性がある。免疫の衰える高齢者が発症しやすく、患者の9割が60代以上だった。
ウイルスはシカやイノシシなどが保有し、屋外に生息するマダニ(フタトゲチマダニなど)がその血を吸って別の動物をかむことで感染する。野山や畑に行く際は注意が必要だが、犬や猫などのペットが外出時にうつされ、世話をする飼い主が室内で感染する危険もある。17年夏には、衰弱した野良猫を動物病院に連れて行った50代女性が手をかまれて感染し、死亡したケースが報告された。
感染研の西條政幸部長は「ペットの具合が悪い時は、厚い手袋をするなど、かまれないように注意してほしい」と話す。