【マダニ感染症】マダニ感染症にインフル治療薬、臨床研究で効果
マダニを介して発症するウイルス感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」について、愛媛大学などの研究グループが9日、新型インフルエンザ治療薬「アビガン」(一般名・ファビピラビル)を患者に投与する臨床研究で一定の効果が得られたと発表した。
来年にも、承認申請のための治験開始が検討されている。
現在、SFTSのワクチンや有効な治療法はない。研究には34医療機関が参加。昨年、患者10人がアビガンを5~14日服用したところ、血小板が速やかに増えるなどして8人が回復した。2人は死亡したが、研究グループは「すでに多臓器不全に至っていたため」と分析。ウイルス量が高まる前の治療が重要という。
SFTSは、6日から2週間の潜伏期間を経て、発熱や頭痛、 嘔吐おうと などの症状が表れ、重症化すると命にかかわる。国立感染症研究所によると、2013年以降、今月1日までに315人の患者が報告され、うち60人が死亡している。
研究グループは臨床研究を継続中で、同大の安川正貴教授(血液・免疫・感染症内科)は「症例数を増やし、さらに効果を検証したい」と話す。