【ロタウイルス】ロタウイルス感染症とは?原因や感染経路、予防接種について
5歳になるまでにほとんどの乳幼児が感染してしまうと言われているロタウイルス。嘔吐や下痢、発熱を繰り返し、重症化してしまうと、脱水症状を引き起こしたり、最悪の場合後遺症を残してしまうケースも……。今回はそんなロタウイルス感染症の原因や症状、対処すべきことや注意点など保護者にとって必要な情報をまとめました。
この記事の監修ドクター
向洋こどもクリニック 梶梅 輝之先生
子どもの病気の診療や予防はもちろんのこと、心身の健全な発達を支援し、ご家族の皆様と子どもの成長をともに喜び合えるクリニックにして行きたいと考えています。
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赤ちゃんのロタウイルスの危険性
ロタウイルス感染症とは?ロタウイルス感染症とは、5歳児までの乳幼児が感染しやすい病気で、嘔吐・下痢などを引き起こす急性胃腸炎のこと。場合によってはひどい下痢・嘔吐・発熱が続き、脱水症状に陥り、脳炎や肝機能障害といった合併症を引き起こすなど重症化する恐れもあります。
厚生労働省の調べによると、ロタウイルスは5歳までの子どもであれば一度は感染することがほとんど。しかし予防接種を期間内にきちんと接種しておけば、前述したような重症化をほぼ防ぐことができます。
赤ちゃんがなりやすいのはなぜ?前述したように、ロタウイルスは5歳までの乳幼児、特に0歳〜2歳までの時期に最も感染しやすいと言われています。ロタウイルスの感染経路は主に経口感染です。
ウイルスに汚染された水や食べ物を口に入れてしまったり、ウイルスが付着された物を口に入れてしまったことなどが原因で感染します。赤ちゃんにとっては、おもちゃなどを舐めることは日常的なこと。保育園などの集団生活の場であっという間に感染してしまうことも……。
親にも感染するの?乳幼児に発症が多いロタウイルスですが、大人に感染することもあります。しかし重症化しやすい子どもと違い、過去に一度ロタウイルスに感染し、免疫のある健康体な大人であれば、発症しても軽いムカつきや倦怠感、軽度の腹痛などで、症状も数日で収まることがほとんどです。
大人の場合、ロタウイルスは子どもからの感染が7割を占めています。おむつやミルクの吐き戻しなどの後片付けをする際は必ず手を洗い、汚れた物の洗濯も別で分けて行うと良いでしょう。
赤ちゃんのロタウイルスの原因と症状
初期症状を見逃さない事ロタウイルスは1日〜3日程度の潜伏期間を経て発症します。症状として見られるのが下痢・嘔吐・発熱などがあります。嘔吐は発症初日から二日目程度に症状が現れ始め、3日目以降は落ち着いてきます。また、発熱は発症から半日〜1日程度の短期間で治ることがほとんどです。
ロタウイルスに感染した乳幼児の症状で、最も特徴的なものが便の色。白っぽく乳白色のような色をしている水便で、乳製品が腐敗したような鼻につくすっぱいにおいがします。このような症状が見られたり、いつもと明らかに様子が異なる場合はすぐに小児科を受診することをお勧めします。
どこで感染?感染経路や原因は?ロタウイルスは感染力がとても強く、ロタウイルスに感染した人の便には1mlあたり1億から100億個のロタウイルスが含まれており、そのうち10個程度のウイルスで感染するほどだと言われています。
感染経路はウイルスに汚染された水や食べ物、ウイルスが付着された物などを口に入れてしまったことなどが原因の経口感染が多く、保育園などの集団生活の場ではあっという間に感染してしまうことも少なくありません。
気をつけたい合併症ロタウイルス感染症に初めてかかった際、症状は特に重くなりがちです。下痢や発熱・嘔吐に関してはもちろんですが、ひどい下痢・嘔吐による脱水症状や、合併症として、けいれん、肝機能異常、脳症などが起こることがあり、最悪の場合後遺症や死に至る場合もあります。
意識が朦朧としていたり、けいれん等の症状が見られたら、速やかに小児科を受診しましょう。
赤ちゃんのロタウイルスは早期治療が肝心!
病院へすぐ行くべき?家での対処法は?下痢や嘔吐、白い水便などロタウイルス感染の兆候が見られたら、自己判断で市販の下痢止めの薬を飲ませることはせず、小児科を受診するようにしましょう。
下痢の中には止めてもいい下痢と、止めてはならない下痢の二種類がありますが、ロタウイルス感染の嘔吐や下痢はウイルスを外に排出する大切な作業なため、薬の使用によっては症状が悪化する可能性があります。
どんな治療をするの?薬は?ロタウイルスに感染した場合、代表的な症状は下痢や嘔吐。脱水症状を起こさないため、水分補給が大切となりますが、乳幼児の場合は水分が取りづらい状態になる可能性も。口の中が乾いていたら脱水症状のサイン!! その際はすぐに病院に行き、点滴で水分を補給すると良いでしょう。
現時点で、ロタウイルス感染症に特効薬は存在しないため、治療は水分補給や栄養補給などが中心となります。子どもが嘔吐した後は、食べ物は与えず経口補水液など水分のみを与え、100cc程度飲めるようになったらゆるめのおかゆから食べさせ始めましょう。授乳に関しては欲しがる分だけ与えて問題ありません。
入院する事もある?通常は数週間程度で治りますが、ロタウイルス感染が重症化することも珍しくありません。特に免疫がない赤ちゃんは症状が重くなりやすく、注意が必要です。
口から水分が取れない、ひどくぐったりしているなど症状が重くなった際はすぐ医療機関を受診してください。点滴で水分・栄養の補給をするほか、場合によっては入院治療が必要な場合もあります。
赤ちゃんのロタウイルスの予防接種
予防接種の効果や費用は?ロタウイルスは前述したように、ほとんどの子どもが5歳になるまで一度はかかってしまう症状。そのため、完全な予防をすることは困難ですが、ロタウイルスの予防接種を打つことで、ロタウイルスに感染した際、重症化し脱水症状や脳症などの合併症を引き起こす危険性を回避することができます。
ロタウイルスのワクチン接種は任意接種のため自己負担となりますが、自治体によっては助成金制度で自己負担額を軽減させることができます。
接種期間に気をつけるロタウイルスのワクチンは「ロタリックス」「ロタテック」の二種類があり、それぞれ接種回数と期間が異なります。ロタリックスは生後6週〜24週未満の間に二回受ける必要があり、初回は生後15週未満までに打つことが推奨されています。
また、ロタテックは生後6週〜32週未満の間に接種を終え、かつ初回は生後8週〜15週の間に初回を受けることが推奨されています。どちらも間隔は4週間以上空けて三回の接種となります。
接種時の注意点は?予防接種を受ける当日は、子熱が37.5度以下か、体調は平常通りであるか確認してください。体温が37.5度以上ある場合はワクチン接種ができないため注意が必要です。また授乳や食事は30分前に済ませるようにしてください。
ワクチンの副反応・及び副作用が強く出る可能性があるのは接種後30分間と言われています。そのため、接種が終わった後30分間は帰宅せず病院の待合室などで待機しておきましょう。
副作用や副反応と対処法ロタウイルスのワクチン接種後、赤ちゃんによってはぐずり、下痢、咳や鼻水などの副反応が出るケースがあります。ほとんどの副反応は2〜3日と数日程度で収まり、心配いらないものがほとんどですが、3日以上経過しても体調が良くならない場合は小児科を受診してみましょう。
赤ちゃんのロタウイルス感染中の過ごし方
食事やミルクはどうする?赤ちゃんがロタウイルスに感染したとき、重要なのは水分補給。脱水症状を引き起こさないよう、こまめに経口補水液などの水分を与えるようにしましょう。食事に関してですが、食欲がない場合は無理に与えなくても大丈夫です。
利尿色の場合は、ゆるめのおかゆなど水分が多めのものや消化のいいものを食べさせてあげてください。母乳を飲んでいる赤ちゃんは欲しがる分だけ与えてあげましょう。
看病するときのポイントまずはこまめに水分補給をしてあげましょう。一度に大量に飲ませると嘔吐をしてしまう可能性があるので、体重10kgにつき10mlを5分おきに様子を見ながら飲ませてあげてください。飲ませるものは経口補水液や薄めたイオン飲料などがいいでしょう。
また、続く下痢が原因でおしりが赤くただれてしまったり、おむつかぶれを起こしてしまう可能性があるので、こまめにおむつ替えをしてあげましょう。
大人にもうつる?二次感染を防ぐにはロタウイルスは大人が感染しても症状はそんなに重くならないケースがほとんどですが、ロタウイルス自体は感染力が非常に強いため、大人にも感染することがあります。便にはロタウイルスが含まれているので、おむつ替えをした後はす必ずせっけんで手をしっかり洗いましょう。使い捨てのマスクや手袋をしてお世話をするとより安心です。
また、嘔吐物にもウイルスが含まれているので、嘔吐物が服に付着した場合は通常の洗濯とはわけて行い、沸騰した熱湯につけるか、次亜塩素酸ナトリウム液拝号の消毒液に30分以上つけてから洗濯をしてください。
まとめロタウイルス感染の疑いがある場合、一番特徴的なのは便の状態。万が一感染した場合に小児科を受診する際、便の状態をお医者さんに説明するために写真を撮っておくとスムーズです。
また、病院によっては二次感染を防ぐため、別室に通される場合もあります。予約を取る際にロタウイルスの疑いがあることを話しておくとスムーズですよ。