【人獣共通感染症】なぜ犬のウンチを道に放置してはいけないのか?
犬のウンチを放置してはならないのは、臭い汚いという理由だけではありません。ウンチは、人獣共通感染症の原因になるウィルスなどの運搬役であり、自然環境に流れ込むことで生き物の生態系にも影響を与える環境汚染物質なのです。
犬のウンチの放置は危険
犬のウンチには、犬糸状虫、鞭毛虫(べんもうちゅう)、鉤虫(こうちゅう)、回虫、条虫(じょうちゅう)、パルボウイルス、ジアルジア、サルモネラ、大腸菌など、とにかく厄介なものをワンサカと運んでいます。あなたの犬のウンチが、ご近所の人獣共通感染症の発生源になる可能性があるのです。
ウンチは下水などを通じて河川や湖、そして海に流れ込み、環境を汚染します。米国環境保護庁(Environmental Protection Agency:EPA)は、入り江に約100匹の犬による排泄物2〜3日分が流れ込んだ場合、一時的に周辺32kmほどを遊泳や魚釣り禁止にしなければならないと想定しています[1]。
ウンチそのものが川、湖、海などに流れ込むと、藻やアンモニアなどを発生させ、水中生物の生息環境を変えてしまう恐れもあります。
また、犬のウンチは、ネズミなどのげっ歯類を惹きつけます。ご近所をウロウロするネズミは、あなたの犬の落し物を食料として心待ちにしているのかもしれません。彼らに病原菌をばら撒かれるのは、勘弁して欲しいところですよね。
野生動物とペットのウンチの違い
非常に残念なことですが、犬のウンチを放置することに罪悪感を覚えない人もいます。「自然な堆肥になるんじゃない?」「野生のオオカミの糞便を拾う人はいない」など、様々な言い訳があるようです。
残念ながらペットの犬のウンチは、野生動物の糞便のようには素早く分解してくれません。また、内容物も野生動物のそれとは大きく異なるため、自然の堆肥になることもありません。
野生動物の糞便は、生物分解され土に吸収されます。肉食を基本とする彼らのウンチは、防腐剤や化学物質は含まず、タンパクとカルシウムが豊富です。野生動物の糞便は昆虫に好かれて数日で分解し、土壌でもバクテリアのえさになります。
一方、現在のペット犬たちは、添加物を含む食べ物を与えられていることが殆どです。防腐剤を多く含むような安価なドッグフードを食べている犬のウンチは、形と匂いを長期間(1年ほど)維持しすることもあるようです[2]。堆肥になるウンチを排出してもらうためには、犬に野生動物と同じ”自然な”食事(獲物)を与えなければなりません。ウンチの分解を優先させる食事が必ずしも犬の健康に良いとは限りませんし、毎日獲物を求めて山に入るのは現実的ではなさそうです。
歩道や公園に犬のウンチを残すのは、一般常識に外れるから悪いのではなく、病原菌をばらまき環境を汚染するからダメなのです。ペットの犬が野生でやっていけないのと同様に、ウンチもまた簡単に自然に帰ってはくれません。
https://news.biglobe.ne.jp/…/09…/woof_170908_8157840042.html