2019/11/26【人獣共通感染症:ズーノーシス】飼い犬になめられて感染症に、63歳男性死亡 /ドイツ
ドイツで63歳の男性が、飼い犬になめられたことが原因で感染症にかかり、重症化して死亡した。欧州の医学誌でこの症例を発表した医師団は、飼い主らに対して、もしもインフルエンザのような症状が表れた場合、すぐに医師の診察を受けるよう促している。
症例を報告したドイツ・ブレーメンの赤十字病院の医師によると、それまで健康だった男性は、犬や猫の口内に存在する「カプノサイトファーガ・カニモルサス」という細菌によって感染症を発症した。
この細菌が人に感染するケースは極めて稀(まれ)だが、動物にかまれたことが原因で感染することもある。しかし今回死亡した男性は、自分の飼い犬に触れてなめられていただけで、かまれたりけがをしたりはしていなかった。
男性はまずインフルエンザのような症状が表れ、次いで重度の敗血症と、血斑や皮膚の変色、壊死を引き起こす電撃性紫斑病を発症。集中治療室で治療を受けたが症状は悪化し続け、多臓器不全のために死亡した。
カプノサイトファーガ・カニモルサスを原因とする感染症では、米オハイオ州でも今年5月、女性が傷口を子犬になめられたことが原因で細菌に感染し、両手両足を切断する手術を受けていた。
米ペンシルベニア大学獣医師校の専門家によると、カプノサイトファーガ・カニモルサスは犬の口内に普通に存在している細菌で、通常はまず、重大な感染症の原因にはならない。しかし極めて特異なケースとして、ごく稀に、重大な感染症を引き起こすことがある。