【公衆衛生】被災地の片付け、泥の中の細菌感染注意 マスクや手袋を
日本環境感染学会は10日、西日本を襲った豪雨の被災地で注意すべき衛生面の対策をまとめた。暑い時期なので食中毒のリスクが高くなるほか、水害で流入した泥水は下水や家畜のふん尿、普段は地中深くにいる細菌を含んでいる。学会担当者は「片付け作業の際には感染症に注意をしてほしい」と呼びかけている。
食中毒を防ぐため、暑いところに長時間おかれた食事や中まで火が通っていない肉などは食べるのを控える。食事前には手をせっけんと流水で洗い、アルコールで消毒する。避難所で急性胃腸炎の患者が出ると、タオルを介して、他の人に感染することがある。タオルの貸し借りは避ける。
西日本はマダニにかまれて感染する重症熱性血小板減少症候群や、蚊に刺されてかかる日本脳炎の患者が多い。肌の露出を減らし、虫よけスプレーを使う。
片付け中にけがをすると、傷口から土の中にいる破傷風菌に感染する恐れがある。口が開けにくくなるなどの症状が出て、体中の筋肉が硬直して全身のけいれん発作が起きて死に至ることもある。レジオネラ症や家畜などの尿を介して広がるレプトスピラ症の原因菌も土や川にいて、菌を吸い込んだり、触れたりすると感染する。発熱や筋肉痛などの症状が出る。
家を片付ける時は、厚手のゴム手袋とゴム長靴、マスクを着用し、ゴーグルがある場合は目も保護して作業する。床や壁、調理台などは水で洗い流し、泥などを取り除く。衣類、布類は80度以上の熱水に10分以上つけた後に洗濯し、乾燥させる。
消毒は泥や汚れを取り除き、乾かした後で行う。家庭用塩素系漂白剤など市販の消毒液は濃度が様々で、使用上の注意に従って使う。消毒液が肌についた場合は大量の水で十分に洗い流す。噴霧タイプの消毒液は吸い込んでしまう恐れがあるので避ける。