2018/03/29【性感染症】英男性に「史上最悪」の淋病感染例=公衆衛生局 /イギリス
【性感染症】英男性に「史上最悪」の淋病感染例=公衆衛生局 /イギリス
英イングランド公衆衛生局(PHE)は28日、同国の男性1人に、第一選択薬の抗生物質が効かない「史上最悪」の「スーパー淋病」への感染が確認されたと発表した。
男性には決まったパートナーが英国にいたが、東南アジアで今年、女性と性交渉を持った後に感染したという。
感染の拡大を防ぐため、公衆衛生当局は現在、男性がほかに性交渉を持った相手がいないか調査を進めている。
抗生物質のアジスロマイシンとセフトリアキソンを投与するという、現在主流の治療では治癒できなかった。
PHEのグウェンダ・ヒューズ博士は、「これら両方の薬と、ほかの一般的に使われている抗生物質に対して、これほどまで高い耐性が示されたのは初めてのことだ」と語った。
世界保健機関(WHO)や欧州疾病予防管理センターも、今回の感染は過去に例を見ないとの見方を示している。
男性は現在も治療を受けており、唯一まだ試していない抗生物質が効果を示す可能性があるとの分析結果が出ている。来月には結果が明らかになる見通し。
男性のパートナーを含め男性以外の感染は現時点で確認されていないが、調査は継続されている。
ヒューズ博士は、「ほかの選択肢によって感染が効果的に治療され、今後の感染拡大のリスクが最小限度に抑えられるよう、これからも経過を観察する」と述べた。
医師らは、今回のような例の可能性を警告していた。2015年には、英国中部の都市リーズで、アジスロマイシンが効かない淋病が流行している。
抗生物質が全く効かない淋菌が将来出現する懸念がある。
英性健康・HIV協会(BASHH)のオルウェン・ウィリアムズ会長は、「新たに耐性の高い淋病が見つかったことは、非常に大きな懸念であり、注目すべき出来事だ。公衆衛生予算が大幅に削減されたことによって、問題がより深刻になるのを恐れている。最も良くないタイミングで診療所閉鎖が実施されており、性の健康に関する医療サービスは『限界』間近にある」と指摘した。
淋病とはどんな病気なのか
淋菌が引き起こす疾患で、女性器や肛門による避妊具を使わない性交渉や、オーラル・セックスによって感染する。
感染者のうち、異性愛者の男性の約1割や女性の4分の3以上、同性愛者の男性で症状に気が付かない場合がある。
しかし、症状には、性器から緑や黄色のおりものが出たり、用を足す際に痛みを感じたり、月経でないときに出血が起きたりする。
治療しないと、不妊や骨盤感染症を引き起こしたり、妊娠時に胎児にうつしたりする可能性がある。