【敗血症】敗血症どんな病気? 致死率高い高齢者は特に注意
著名人の死亡記事などで時々見る死因「敗血症」。朝日新聞社のデータベースで、2007~16年度の間に出た「敗血症 死去」という言葉を含む記事を検索すると、242件がヒットしました。16年も、ボクシング・ヘビー級のモハメド・アリさんらが亡くなっています。
敗血症の原因は、皮膚や肺、腸など、体の一部で病原体が繁殖する感染症です。多くは、薬や人が持つ生体防御機能で徐々によくなります。例えば、発熱で病原体の増殖を抑えたり、免疫で病原体を攻撃したりします。
ところが、この機能が壊れて、さまざまな組織や臓器が本来の働きを失い、命が脅かされるような状態になる場合があります。これが敗血症です。ショック症状や、多くの臓器が障害される「多臓器不全」を起こすこともあります。
世界中で、年間の発症者は2千万人とも3千万人とも言われ、年間約1千万人が亡くなっているとされています。発症すると、死亡率は先進国でも約30%です。厚生労働省によれば、15年度の国内での敗血症による死者は約1万1千人ですが、肺炎やがんなどから敗血症になる人も多く、日本集中治療医学会は年間約10万人が敗血症で死亡しているとみています。
感染の背景として、発展途上国では、不衛生な環境や栄養不足、治療の遅れが主な原因とされています。一方、これらの問題が比較的少ない先進国では、免疫機能が低下する、高齢者の敗血症が心配されています。
免疫の中には、様々な異物をやっつけてくれる迅速な対応が得意な「先発部隊」と、異物を見極めて、ピンポイントで狙い撃ちする「主力部隊」がいます。高齢者の場合、免疫全体の戦力が若い頃より弱っている上に、部隊の混成も、先発部隊に偏っており、感染症にうまく対応しにくい状態になっています。