政府による緊急事態宣言の対象区域が三大都市圏を含む11都府県に拡大することが決まり、農林水産業に与える影響も懸念される。要請に沿って飲食店の営業時間短縮が広がれば、食材を供給する生産者にも逆風となる。農林水産省は「関係業界の状況を注視するとともに、コロナ禍の影響を受けた生産者に寄り添いながら、経営をしっかりと支えていきたい」(野上浩太郎農水相)としている。
緊急事態宣言では、飲食につながる人の流れを制限するため、飲食店に営業時間短縮の要請が行われる。11都府県の経済規模は日本全体の約6割を占め、農林水産業への影響度合いも従来と比べて増しそうだ。
全国農業協同組合中央会(JA全中)の幹部は、飲食店の時短営業や休業を念頭に、「国産の農産物を自宅で消費してもらえればありがたい」と気をもむ。ただ、飲食店向け需要の減少を家庭向けでどれだけ盛り返せるかはわからない。
コロナ禍で農林水産業の生産基盤をどう守るかが問われる。野上農水相は12日の記者会見で、18日召集の通常国会で審議される令和2年度第3次補正予算案も含め「さまざまな支援策を用意している」と話した。
一方、飲食業に対する政府の支援策「Go To イート」では、宣言が発令済みの首都圏の1都3県のほか、今回追加された7府県のうち福岡県を除く6府県でも既に地域限定のプレミアム付き食事券の販売を一時的に停止している。
大阪府は、これまで1月末までとしていた食事券の販売停止の期限を、宣言の実施期間である2月7日までと変更した。福岡県も対応を判断する見通しだ。
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