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2020/02/12【新型コロナウイルス:COVID-19】新型ウイルス 感染力は?ワクチン開発は?疑問をまとめました
感染の拡大が続く新型コロナウイルス。私たちはどう備えればいいのでしょうか。「正しく怖がる」ための最新の情報をまとめました。
どんな症状が出るの?
Q:新型コロナウイルスに感染するとどんな症状が出るのでしょうか。
A:WHO=世界保健機関などによりますと、今回の新型コロナウイルスに感染して発症した際の主な症状として、発熱、せき、息苦しさなどの呼吸器症状、それに筋肉痛やけん怠感などが報告されています。
重症化した場合、肺炎や呼吸困難を引き起こしたり、腎臓の機能が低下したりすることがあるということです。
WHOは記者会見で、感染した人のうち82%の人は症状が比較的軽く、15%が重症、3%が重篤で命に関わる症状だと説明しています。
また、これまでに日本国内で感染が確認された患者の治療に当たってきた、国立国際医療センターの忽那賢志医師によりますと、患者に共通していた症状は、鼻水やのどの痛み、それにせきが出て、37度以上の発熱や全身のけん怠感が1週間程度続くことだとしています。
中には1週間後に熱が高くなることもあり、インフルエンザやほかのウイルス性の感染症より症状が続く傾向があるとしています。
感染力はどれくらい?
Q:新型コロナウイルス、感染力はどれくらいでしょうか。
A:感染力は「1人の患者から感染が何人に広がるのか」ではかります。新型コロナウイルスは現在のところ、せきやくしゃみなどに含まれる飛まつによって広がると考えられていて、感染した人、1人から広がるのはWHOでは1.4人から2.5人、中国の疾病予防センターが出した初期の患者の報告では2.2人としています。
感染力が極めて強い、はしかは12人から18人、2003年に中国やアジア各地を中心に広がったSARSは、感染が拡大している時に3人程度、インフルエンザは2人から3人とされています。
今後、変わる可能性はありますが、今のところインフルエンザと同じくらいの感染力です。感染力は予防対策を取ることで下げることもできます。
重症の人の割合は?
Q:新型コロナウイルスに感染すると、どれくらいの人が重症になるのでしょうか。
A:WHOは今のところ、感染した人のうち82%の人は軽症で、15%が重症、3%が重篤で命に関わる症状だと説明しています。
新型コロナウイルスに感染しても全員が肺炎になるわけではなく、多くの人の症状は軽いとされています。
重症化した人の多くは高齢者や持病のある人だったという報告があるため、一般の感染症と同様に免疫が弱くなっている人などは注意が必要です。
特に注意が必要な人は?
Q:新型コロナウイルスに感染した場合、特に注意が必要な人はどんな人でしょうか。
A:WHOによりますと、今回の新型コロナウイルスで死亡したのは、高血圧や糖尿病、心臓病など免疫を低下させるような持病があった人が多かったということです。
現在は国内で新型コロナウイルスが流行している状況ではありませんが、新型コロナウイルスにかぎらず、インフルエンザなど一般的な感染症でも免疫が弱くなっている人は注意が必要です。
具体的には、高血圧や糖尿病、心臓病といった持病がある人や、リウマチなどで免疫抑制剤を使っている人、高齢の人などです。持病の程度がどのくらいだと重症化しやすいかについては、はっきりと分かっていません。
また、新型コロナウイルスでは、これまで特にリスクが高いという情報はありませんが、一般的に妊娠中の女性はウイルスに感染しやすく、万が一肺炎になった場合に重症化しやすいということです。
さらに乳幼児についても新型コロナウイルスでどういった症状が出るのかデータはありませんが、いずれにしても自分で手洗いを徹底したり、人混みを避けたりなどの予防対策を取るのが難しいため、注意が必要だということです。
潜伏期間でも感染するの?
Q:新型コロナウイルスは、症状が出ていない潜伏期間でも感染するのでしょうか。
A:潜伏期間については、これまでにさまざまな報告がありますが、平均5日前後、最長で2週間とされています。
例えば、インフルエンザの場合、2日から4日程度とされているので、新型コロナウイルスは感染の疑いがある人と接触した場合、注意が必要な期間が長くなるということです。
また、新型コロナウイルスについては、症状が出ていないのに感染が確認されたケースも報告されています。明らかな症状が出ていないのに感染を広げることは、インフルエンザでも知られていることで、周りで誰もせきをしていないのにインフルエンザになったというケースもあります。
同様のことが新型コロナウイルスでも起こるとみられています。2月4日、北海道大学の研究グループは、中国などで追跡調査できている52人のデータを解析し、患者の2人に1人が潜伏期間中の患者から感染した可能性があることを指摘しました。
これは、新しい患者が出てくるスピードが、発症した人だけから感染したと仮定した場合より早かったことから導き出された推定です。
潜伏期間とは言っても発症直前だった可能性やすでに弱い症状が出ていた可能性もあり、今後、新たなデータが出てきた場合、さらに分析が期待されます。
特にこの時期は、新型コロナウイルスとは関係なく、通常のかぜやインフルエンザ、それに花粉症などでせきやくしゃみが出る人は少なくありません。少なくとも患者との接触があったなどで感染の可能性がある場合や、少しでもせきやくしゃみが出るという人は、知らず知らずのうちに広げてしまうのを防ぐため、マスクをするなどの注意が必要です。
致死率はどれくらい?
Q:新型コロナウイルスに感染した場合の致死率はどれくらいでしょうか。
A:致死率は現段階では感染拡大の中心になってきた武漢ではおよそ4%、中国本土では2%余りです。中国本土以外で死亡したのはフィリピンと香港の合わせて2人で、致死率は0.4%程度です。
武漢で致死率が高い理由として指摘されている理由の1つは、武漢では幅広い年齢層の人が感染し、多くの患者が出たため、医療機関が十分な医療を提供できない状況になったことが影響しているとみられます。
同じコロナウイルスの感染症で、2003年に中国やアジア各地を中心に広がったSARSは、致死率がおよそ9.6%でした。
致死率はSARSに比べると高くはないといえます。しかし、仮に致死率が低くても、分母にあたる感染者の数が多くなれば、当然、重症化する人、亡くなる人の人数は増えますので、警戒は必要です。
また、今回の新型コロナウイルスの致死率が、最終的にはどれほどの値になるかは、まだ分からないという指摘もあります。
致死率は感染が確認された人のうちで亡くなった人の割合ですが、把握されていない感染者が数多くいるのではないかという見方もあるからです。いずれにしても、感染をできるだけ広げない対策が引き続き必要です。
感染しやすい年齢層は?
Q:感染しやすい年齢層はあるのでしょうか。
A:WHOによりますと、感染している人はこれまでのところ主に成人だということですが、小さな子どもから高齢者まで幅広い世代で報告されているということです。
WHOは、重症になりやすい人として、持病のある人に加えて、高齢者を挙げています。
治療薬はあるの?
Q:新型コロナウイルスに対する治療薬はあるのでしょうか。
A:今のところ、インフルエンザのタミフルやゾフルーザのような、ウイルスに対して直接、効果がある治療薬はなく、酸素吸入や脱水の際の点滴など「対症療法」で対応しています。
国立感染症研究所によりますと、こうした治療を行っている間に患者自身が免疫を獲得して、ウイルスが排出されるのを待つということで、実際に多くの人が回復しています。
特効薬はまだ開発されていませんが、すでに実用化されている別の病気の薬が使える可能性があるとして、実際に日本を含む各国で患者への投与が行われています。
アメリカのCDC=疾病対策センターなどの研究グループは、新型コロナウイルスによる肺炎になった男性に、エボラ出血熱の治療薬として開発が進められてきた抗ウイルス薬を投与したところ、翌日以降、酸素吸入の必要がなくなり、発熱も治まるなど、症状が改善したとしています。
また、タイの保健省は中国人の患者に対し、インフルエンザの治療薬とエイズの発症を抑える薬を組み合わせて投与したところ、コロナウイルスが検出されなくなり、症状に改善が見られたと記者会見で発表しました。
日本国内でも国立国際医療研究センターで、肺炎になった患者1人にエイズの発症を抑える薬を投与したということです。患者はその後、熱が37度台まで下がり、けん怠感は改善傾向になったほか、呼吸も改善したということです。
ただ、これらの薬に効果があったのかはまだはっきりしておらず、いずれのケースでも安全性や有効性を判断するにはさらなる臨床試験が必要だとしています。
ワクチンはあるの?
Q:新型コロナウイルスへの感染を防ぐワクチンはあるのでしょうか。
A:ワクチンは事前に接種しておくことで感染を防いだり、発症しにくくしたりするものですが、新型コロナウイルスに対するワクチンは今のところありません。
通常、ワクチンの開発では、ウイルスそのものを処理して毒性を無くしたり弱めたりしたうえで、免疫を十分に活性化する効果があるかどうかを動物実験などを行って調べます。
動物で効果があると確認できれば、人に投与する臨床試験を行って、さらに効果や安全性を確かめます。
国立感染症研究所は通常の場合、ワクチンが開発されるまでには「年単位の時間がかかる」としています。
実際に同じコロナウイルスの一種による感染症で、2003年に中国やアジア各地を中心に感染が拡大したSARSや、中東を中心に感染が続く、重い肺炎を引き起こすMERSではワクチンは完成していません。
こうした中、アメリカ国立アレルギー・感染症研究所は、新型コロナウイルスのワクチンの開発を進めていることを明らかにし、研究所のアンソニー・ファウチ所長は先月28日の記者会見で、「3か月以内にワクチンの効果や安全性を確かめるための臨床試験を始める」と述べました。
この中で、アメリカの製薬ベンチャー企業イノビオ社は、新型コロナウイルスの遺伝子の情報を使って、免疫を活性化させるたんぱく質を設計して、ワクチンとして投与するという新たな方法で、臨床試験を始めるまでの期間を大幅に短縮できるとしており、ことしの初夏には臨床試験を始められるとしています。
さらに、WHOはMERSの対策として開発を進めているワクチンが、新型コロナウイルスにも効果がないか探っていくとしていますが、実際に使えるようになるには、一定の時間がかかると見られています。
私たちができる対策は?
Q:私たちができる対策はあるのでしょうか。
A:コロナウイルスはインフルエンザやかぜと同様に、せきやくしゃみなどの飛まつを通じて感染するとされています。
このため、基本的な対策はインフルエンザなどと同じで、手を洗うことと、せきエチケットです。
手洗いについては、せっけんを手首までしっかりとつけ、流水で少なくとも20秒間は洗うことが効果的だとされています。指の間や爪の隙間までしっかりと洗います。頻繁に手洗いをしてください。
すぐに手が洗えない場合は、アルコール消毒薬で手をふくのも有効です。この場合は、たっぷりとアルコール消毒薬を手につけ、ふき残しがないように注意してください。
また、ウイルスは目や口、それに鼻などから入ってきます。手をきれいにするまでは顔を触らないようにしてください。
次にせきエチケットの徹底です。せきエチケットは、せきやくしゃみをする時には口を覆うことです。この時、手のひらで口を覆うのではなく、ティッシュやひじを使って抑えることが重要です。
もし、手のひらを使ってしまうと、手にウイルスがついてしまい、ドアノブを触るなどして感染を広げてしまうおそれがあります。
また、正しくマスクをつけることもせきエチケットになります。感染を広げない対策は、周囲の人を守るためだけではなく、流行が広がって医療機関が混乱してしまうのを避けるという意味で、自分自身を守ることにもつながります。
このほかの対策としては、人混みを避けること、せきやくしゃみをしている人からは1メートル以上距離をとること、持病があるなど感染症のリスクが高い人は、念のためにマスクを正しくつけることなどがあります。
新型のウイルスに対しては、分かっていないことだけに目を向けるのではなく、分かっていることをしっかりと実践し、冷静に対応することが重要です。
https://www3.nhk.or.jp/n…/html/20200212/k10012282161000.html