2021/03/02【新型コロナウイルス:COVID-19】最大規模クラスターなぜ感染拡大 /埼玉県
320人以上が感染し45人が死亡するなど、国内最大規模のクラスターが発生した埼玉県戸田市の病院で何が起きていたのか。
調査報告書を入手したところ、病院の職員が休憩室で会話しながら食事していたことや、防護服を重ね着していたため着脱の際にウイルスが付着した表面に触れる機会が増えたことで感染が広がった可能性が指摘されていることが関係者への取材でわかりました。
埼玉県戸田市の戸田中央総合病院では、去年11月に看護師の感染が判明したあと感染が広がり、先月までに職員174人と患者150人の合わせて324人が感染、このうち45人が死亡し、国内最大規模のクラスターとなりました。
ことし1月、厚生労働省のクラスター対策班が派遣され、感染状況や原因などを調べ報告書をまとめました。
NHKが入手した報告書によりますと、15ある病棟のうち11の病棟に感染が広がり、感染した人の半数以上は職員でした。
感染した看護師は127人に上り、病院の看護師のおよそ4人に1人が感染したことになります。
感染拡大の原因については、休憩室で職員どうしが会話をしながら食事をしていたことや、更衣室でマスクを着用せずに会話していたこと、患者の中にマスクをつけるのが難しい人もいたことなどを挙げています。
さらに、感染防止対策として看護師などが薄い防護服を重ね着していたケースもあり、着脱の際にウイルスが付着した表面に触れる機会が増えたことで、感染が広がった可能性が指摘されました。
また、感染が広がるにつれて誰が濃厚接触者なのか現場で把握できていないことや、自宅待機となった職員の代わりに応援に入った職員に十分な情報が伝えられていないなど、情報の周知の問題点も指摘されました。
戸田中央総合病院の原田容治院長は「大規模なクラスターが発生したことは真摯に受け止めています。患者が急増し受け入れ能力を超え、一般病棟でほかの患者と一緒に診なければならない状況が起きてしまいました。患者や亡くなった方に申し訳ない思いです」としています。