2020/05/08【新型コロナウイルス:COVID-19】高齢者施設内の感染全国で相次ぐ
老人ホームなどの入所系の高齢者施設で、先月末までに少なくとも550人あまりが新型コロナウイルスに感染し、このうち10%にあたる60人が死亡したことが、全国の自治体への取材でわかりました。欧米では死者の多くを高齢者施設の入所者などが占めていて、専門家は「日本でも感染者や死者がさらに増えていくおそれがある」と指摘しています。
新型コロナウイルスの感染が先に深刻化した欧米では、死亡した人の多くを高齢者施設の入所者などが占める事態となっていて、NHKは全国の自治体に先月末時点での高齢者施設での感染状況を取材しました。
その結果、特別養護老人ホームや老人保健施設、それに有料老人ホームやグループホームなどの入所系の高齢者施設では少なくとも利用者380人あまり職員およそ170人のあわせて550人あまりが感染し、このうち10%にあたる利用者60人が死亡していたことがわかりました。
このほか、▽デイサービスなどの通所系施設やショートステイなどの短期入所系施設でも、利用者と職員あわせておよそ190人が感染し、このうち利用者6人が死亡していたほか、▽訪問介護事業所でも利用者と職員だけであわせて30人あまりが感染していました。
さらに愛知県では、デイサービスに関連して2つのクラスターが発生し、利用者と職員、それに利用者の家族や接触者などを含めてあわせて90人あまりの感染が確認され、このうち20人が死亡しています。
これらをすべてあわせた高齢者施設関連の死者は少なくとも86人で、国内で感染が確認され死亡した人のおよそ15%を占めています。
高齢者の介護や施設に詳しい東洋大学の早坂聡久准教授は「現段階でも大変高い死亡率になっていると受け止めているが、欧米では死者に占める高齢者施設の入所者の割合が高いことを考えると、日本でも感染者や死者がさらに増えていくおそれがある」と指摘しています。