【溶連菌感染症】様々な症状がある子どもの溶連菌感染症
「溶連菌」と一言にいっても、現在特定されているものだけでA~W群の21種類あり、種類によって中耳炎や上気道炎など発症部位や症状は様々です。ここでは、溶連菌感染による手の症状について詳しく解説します。
皮膚変化を起こす溶連菌感染症とは? ヒトの場合、A群溶連菌が溶連菌感染の約9割を占めています。この菌が起こす症状には、手に症状が現れることが多いです。溶連菌感染症の皮膚変化である皮膚落屑(ひふらくせつ)に加え「伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん:通称とびひ)」「猩紅熱(しょうこうねつ)」「丹毒」「ひょう疽」などの病気が挙げられます。一つひとつの症状について、ご説明します。
溶連菌感染症に見られる手の症状とは? 溶連菌感染症では、皮膚落屑と呼ばれる特徴的な皮膚症状を見ることがあります。皮膚変化は手指や前腕部および足の甲に湿疹ができます。皮膚症状のみで、一般的な溶連菌感染症で見られる発熱や咽頭痛などの症状がほとんどみられないこともあります。湿疹はザラザラしており、数日かけて皮膚がポロポロと剥がれ落ち(皮膚落屑)、ツルツルの指先になります。りんご病や風疹でも似たよう症状が現れることがありますが、ザラザラ感や皮膚落屑は現れません。
次に、溶連菌が原因となりうる病気について見ていきましょう。
猩紅熱
猩紅熱は溶連菌の毒素に免疫がない場合に生じる全身性の発疹で、溶連菌感染症が重症な場合に現れることがあります。発熱から1?2日後に日焼けをしたような発赤が脇や鼠径部などの関節部分から始まり、手足を含めた全身に広がります。急性期をすぎると発疹部位は落屑となり、正常な皮膚へと戻ります。
伝染性膿痂疹
俗に「とびひ」ともいわれる伝染性膿痂疹は、溶連菌や黄色ブドウ球菌が皮膚に感染することで生じる皮膚感染症です。黄色ブドウ球菌によるものが大半で、この菌に感染すると水泡性膿痂疹(水ぶくれ状)となり、溶連菌では痂皮生膿痂疹(かさぶた状のもの)が多いといわれています。小さなかすり傷から感染することが多く、皮膚バリアが弱いアトピー性皮膚炎患者に発症しやすいといわれています。
丹毒
「丹毒」とも溶連菌が原因となりうる皮膚感染症で、小児や高齢者など免疫力が低い人に現れることが多いです。「丹毒」は、皮下組織よりも浅い真皮レベルでの感染で、うずくような痛みを伴う浮腫状の紅斑が顔や手足に出現します。紅斑の境界は明瞭で、光沢や熱を持っています。
ひょう疽
「ひょう疽」は、主に手足の指先の小さな傷から溶連菌などの細菌が感染することにより発症します。子どもの場合、指しゃぶりをする乳幼児や爪を噛む癖がある小児に時々見受けられます。手足の爪周囲の発赤や熱感、うずくような痛みを生じ、膿がたまる膿疱(のうほう)が現れることもあります。
治療 治療は、ペニシリン系などの抗菌薬内服治療が基本です。しかし、ごくまれに細菌が血流に入り込み全身を回る敗血症になることがあります。このような重症なケースでは、全身管理と抗生剤点滴治療のために入院管理が必要となります。
特に初感染時や抵抗力の弱い子どもは重症化することがあるため、前記した症状を認めた際には、小児科あるいは皮膚科に早めに相談しましょう。