秋の深まりとともに黄色く色づくイチョウ。実のギンナンは、もっちりした食感で独特の苦みが料理の味を引き立たせる。茶わん蒸しや炊き込みご飯などの名脇役だ。
食べるのは硬い殻の中にある黄緑色の胚乳と呼ばれる部分。糖質やビタミンCなど栄養価の高い成分を多く含む。感染症を予防するカロテンも含まれることから、風邪を引きやすい秋口にはぴったりの食材だ。独特の臭いのもとは、足の臭いの原因とされる酪酸など。イチョウの木は見栄えの良さなどから街路樹として重宝される。
もともとは中国が原産。一説によると、鎌倉から室町時代に日本に伝わったという。栽培が本格的に始まったのは1950年代で、生産量が多いのは愛知県や大分県などだ。
JAべっぷ日出(大分県別府市)によると、今年は雨が多く、実が大きく成長。11月上旬の東京都中央卸売市場では前年より3割安い。都内スーパーの店頭には1パック(300グラム)500円前後で並ぶ。殻の表面が白い新鮮な実を選びたい。