【研究報告】ダニ媒介脳炎の仕組み解明 北大チーム 治療法開発に期待 /北海道
ダニ媒介性脳炎の発症メカニズムを、北大大学院獣医学研究院の好井(よしい)健太朗准教授(公衆衛生学)らの研究チームが解明し、28日付の米科学誌「米国科学アカデミー紀要」で発表した。
マウスを使った実験で、脳内の神経細胞に感染したウイルスが、どのように意識障害などの神経症状を引き起こすかが初めて分かった。国内でダニ媒介性脳炎の発症が確認されたのは道内のみ。発症した4人中2人が死亡しており、治療への応用が期待される。
好井准教授らは、実験用マウスから神経細胞を取り出し、神経細胞の樹状突起内の輸送機構に着目して、ダニ媒介性脳炎に感染した場合の影響を解析した。
脳内の神経細胞は通常、宿主RNA(リボ核酸)が細胞中心部から樹状突起へ輸送され、他細胞からの信号を受け取ってタンパク質を生成することで情報を伝達している。
しかし、ダニ媒介性脳炎のウイルスに感染すると、ウイルス専用のRNAが輸送ルートを乗っ取って正常な宿主RNAの輸送を妨げる。さらに他細胞からの信号を受け取ってウイルスのタンパク質を生成する。