米テネシー州で最近、休暇を過ごしたホテルから戻った26歳の女性が突然歩けなくなる事件があった。毎日泳いでいた温水プールで緑膿菌に感染し、車椅子を使う羽目になってしまったという。
地元メディアによると、インディアナ州インディアナポリスに住むテイラー・ブライアント(Taylor Bryant)さんは最近、家族と一緒にテネシー州に旅行に出かけた。宿泊先のホテルでは日曜日から火曜日にかけて3日間、ジェットバスや温水プールを満喫し、自宅に帰省後、異変に気づいた。全身にポツポツした赤い発疹が出現したうえ、下半身を動かすことができなくなってしまった。
自宅近くの診療所を訪れたテイラーさんに対し、かかりつけ医は「ハードな登山でもしたのかい?」と質問。違うと答えて、休暇中に何をして過ごしたかを説明したところ、「発疹は消毒が不十分なプールが原因の温浴毛包炎の可能性が高い」として抗生物質を処方された。
健康な人なら無害だが
テイラーさんは薬を10日間飲み続けたが、一向に症状は改善されず、車椅子を使わなければ移動できなくなった。「もしかして足を切断しなければならなくなるのかもしれない」という恐怖にさいなまれ、夫とともに都市部の大学病院を受診。そこで抗生物質の点滴を1日20時間、4日間ぶっ続けで受け続けた結果、ようやく改善の兆しがみられた。
専門家によると、緑膿菌は水まわりなど生活環境中に常在する極めて一般的な細菌で、健康な人であれば通常は無害だ。しかし、何らかの原因で血液中に侵入し、菌血症や敗血症を引き起こすと、「エンドトキシン」という毒素によるショックを引き起こし、多臓器不全などで死亡することがある。
体毛を剃っていたので
テイラーさんの場合、全身の赤い発疹は塩素処理が不十分な温水プールで毛根が感染し、吹き出物が発生(温浴毛包炎)。さらにカミソリで体毛を剃っていたことから、足の傷から菌が入り込んで重症を引き起こした可能性が高いという。
テイラーさんは現在、自分の足で歩くことができるようになったが、もう二度と温水プールには行かないと話している。米疾病予防管理センター(CDC)は感染予防には、最低でも1日2回は水質チェックが行われているプールを選び、水から出た後は、石鹸で体を念入りに洗って、水着の洗濯をするよう勧めている。