2017/05/13【貝毒・食中毒】夏の時期は貝毒が増える?危険性のある貝の種類5つ

【貝毒・食中毒】夏の時期は貝毒が増える?危険性のある貝の種類5つ

楽しい潮干狩りで拾った貝を食べたら、食中毒にあたってしまったという経験はありませんか?

貝毒による下痢や麻痺といった症状はかなり体にとって負担となります。貝毒をもった貝の種類や、あたってしまったときの対処法などを医師に解説していただきました。…
貝毒とは

水中や水面を漂って生活する小さな生物をプランクトンと呼び、細菌よりも大きな生物で、藻のような植物や小さい甲殻類などの動物を含みます。

植物プランクトンの一種が作り出す毒を、貝が大量に食べることで毒が濃縮され、それを人間が食べることで貝毒の中毒が生じるのです。

初夏から夏には植物プランクトンが繁殖しやすくなるため、その時期に多くなりますが、すべての貝が毒を持つわけではなく、個体差・地域差・季節差が大きいとされています。
貝毒によって起こる症状

貝の毒は下痢を起こすものと筋肉の麻痺を起こすものに分かれます。

下痢性貝毒食べた後30分から12時間後に水のような下痢、腹痛、吐き気、悪寒が起こり、3~4日後には回復し、後遺症などは残さず死の危険もほぼないとされています。

麻痺性貝毒食後数分から30分ほどで唇・舌・のどのしびれ感や焼けるような感じが起こり、それが首・腕・手足の先・顔面に広がります。筋肉の麻痺によって飲み込みができずよだれが垂れ、手足の筋肉や呼吸に必要な筋肉が麻痺するために、重症例では死に至ることもあります。多くは2日程度で回復するとされています。
危険性が高い貝毒の貝の種類

下痢性貝毒
・ホタテガイ
・ムラサキイガイ(ムール貝)

麻痺性貝毒
・イガイ
・オオノガイ
・アカザラガイ
貝毒を起こした場合の応急処置

食べて数時間以内であれば吐くことも考えますが、しびれ感がある場合は吐くことで呼吸筋肉麻痺を悪化させる可能性があるため、吐かないほうが良いと考えられます。一緒に食べた人が無症状ならば吐かせたほうがよいでしょう。
病院での貝毒の検査・治療法

貝毒による症状であるとすぐに判明するような検査は存在せず、同じものを食べた人に同様の症状が発生していれば貝毒によるものと考えます。ノロウイルスなどの嘔吐下痢症の流行時期であれば、貝毒が原因だったのかどうかの判別は難しいでしょう。

鼻や口から胃に細いチューブを入れ、そこから胃の内容物を吸引して胃の中を洗います。活性炭という炭の粉末をチューブから胃に入れ、有害物質を吸着する治療法もあります。呼吸状態や脱水がないかを観察し、対症療法を行い、毒が排出されるのを待ちます。
貝毒被害にあわないための注意点

貝は外見上からは毒があるかどうかは分かりませんし、加熱しても毒が消えることはありません。潮干狩りをする際には、その貝を食べていいのかどうかを砂浜の管理組合などに確認しましょう。

また潮干狩り漁場ではない川や海で取った貝は食べないようにしましょう。特に体の小さい子供や抵抗力の弱い高齢者は避けるべきと考えます。触っただけで毒が体に入ることはありません。

最後に医師から一言

貝は大量の海水やプランクトンを飲み込むため、毒が濃縮されやすいです。熱帯に生息するカニも、同じように毒のあるプランクトンを食べることで毒が濃縮され、高濃度の毒を体内に持っていることがあります。

自分で自然から取ったものを食べる際は、貝・魚・野草・きのこに限らず、十分な知識を持ってからにするべきと考えます。

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