【野口英世】国有形文化財へ 横浜・洋風最古級、若き野口英世が勤務 /神奈川県
国の文化審議会は9日、明治から昭和にかけてコレラなど感染症の疑いがある外国人を収容した建物「旧長濱検疫所一号停留所」(横浜市金沢区)を登録有形文化財(建造物)に指定するよう文部科学相に答申した。登録されると、県内の登録有形文化財(同)は計242件となる。
一号停留所は1895年に造られた木造平屋の建物(約420平方メートル)。「横浜最古級の洋風建築」とされ、コの字形の建物の両端には壁ごと外側に張りだした特徴的な出窓がある。
旧長濱検疫所は、現在の横浜検疫所の前身にあたり、99年に当時22歳だった野口英世が感染症を特定する「海港検疫医官補」として勤務したことでも知られる。同検疫所によると、一号停留所は横浜港や東京湾に船で渡航してきた外国人のうちコレラやペストなど感染症が疑われる患者が10日ほどの検査期間中に滞在。戦後は海外からの引き揚げ者向けにも利用されたという。
その後、主な渡航手段が飛行機に移り変わったことなどにより、患者の受け入れは徐々になくなり、1986年からは検疫の器具などを展示する資料館となった(現在は年に1回公開)。横浜検疫所の担当者は「『病気を持ち込まない』という検疫の精神を歴史から考えられる重要な建物。引き続き継承したい」と語った。