【食中毒】「えびす」運営会社に賠償命令 生肉食中毒で判決
2011年に5人が死亡した「焼肉酒家えびす」の生肉集団食中毒で、遺族や被害者計9人が運営会社などに約2億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が13日、東京地裁であった。鈴木尚久裁判長は同社に約1億6千万円の支払いを命じた。元社長や元店長に対する請求は棄却した。
賠償を命じられたのは運営会社「フーズ・フォーラス」(東京、特別清算手続き中)。同社は衛生管理を怠っていたことを認め、賠償責任を争っていなかった。
元社長への訴えについて、鈴木裁判長は「当時は国の衛生基準が周知されておらず、重大な過失は認められない」と責任を否定。「元店長も会社のマニュアルに従って調理をしていた」として原告側の請求を退けた。
11年4月、富山や石川など4県の店舗でユッケを食べた客ら約180人が食中毒症状を訴えた。このうち5人が死亡し、牛レバーの生食提供の禁止につながった。
肉を卸した「大和屋商店」(東京)を相手に遺族らが起こした訴訟は、17年9月に金沢地裁で和解が成立した。
判決が元社長ら個人の責任を否定したことについて、遺族で原告の小西政弘さん(54)は記者会見を開き、「誰に責任があるのか見えなかった。納得できない」と批判した。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2805260013032018CC1000/