【黒星病】リンゴ表面に斑点「黒星病」被害増、対策を強化
リンゴの果実の表面などに黒い斑点が出る「黒星病」が昨年、青森県津軽地方で広範囲に発生したことを受け、青森県などが対策を強化している。
新たな薬剤を導入したほか展示圃てんじほを設置して、落ち葉を畑の土に混ぜ込む防除対策「すき込み」を行い、病原菌の飛散を防ぐ効果を確かめる。県は「黒星病を発生させないよう、生産者に適切な対策を講じてもらいたい」としている。
黒星病はカビの一種で、落ち葉の表面から胞子を飛ばし、新芽が出る4月下旬から葉への感染が始まる。葉から果実に伝染すると、実の表面に黒い斑点が出て商品にはならなくなる。
青森県内のリンゴ作付面積約2万ヘクタールのうち感染による被害が出たのは、2012~15年度が161~367ヘクタールで数%で推移していたが、昨年度は1割を超す3210ヘクタールに上った。被害が比較的軽い園地が多く、全体の収穫量に大きな影響はなかったが、感染した落ち葉などが今年の感染拡大を招く恐れもあるため、県などで被害園地が急増した原因の解明や新たな防除対策を検討してきた。
青森県産業技術センターりんご研究所の調査では、防除用に約30年間使われてきた薬剤「EBI剤」に耐性を持つ菌が増加していることがわかった。昨年は雪解けが早く菌の飛散も早かったことから、県は今年度、生産者向けの黒星病対策の研修会を例年より1週間前倒しで開き、別の薬剤の散布などを呼びかけた。
病原菌の飛散を防ぐ「すき込み」も有効だが、手間がかかるため行わない生産者が多いという。そのため、中南地域県民局は今年度、同県藤崎町にすき込みの効果を実証する展示圃を設け、12日にトラクターを使ったすき込みを実演した。園地を所有する男性(35)は「昨年は広範囲で黒星病が発生した。効果を見極め、今後の参考にしたい」と話した。
県は今後、各地の黒星病の発生状況や、時期ごとの対応方法を農業情報サイト「アップルネット」などで周知する。青森県りんご果樹課の舘田朋彦課長は「生産者に役立つ情報を細やかに提供し、黒星病の撲滅につなげたい」としている。