2017/10/13【耐性菌】「悪魔の耐性菌」対策急務 抗生物質効かないCRE 北九州の病院で入院患者感染 /福岡県

北九州市の東筑病院で8月に明らかになったカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)の集団感染を受け、医療現場では感染防止対策の徹底が進む。「悪魔の耐性菌」とも呼ばれるCREは、3年前に国への報告が義務付けられたばかり。ほとんどの抗生物質が効かず、肺炎などを起こすと最悪の場合、死に至る。専門家は「医療機関だけでなく福祉施設などと連携した対策が必要」と指摘する。
CREは人の手などを介した接触感染で広がる。東筑病院は8月10日、入院患者4人がCREに感染、うち3人が死亡したと公表。2人についてはCREによる感染症が疑われる。同14日にも2人の感染が判明した。院内感染の可能性があったため、医師や看護師全員がアルコール消毒液を携帯し、こまめに手を洗浄するよう徹底。新たな入院患者は全員CREの保菌検査を実施するようにした。
感染が判明した6人の中には別の医療機関からの転院患者もおり、感染源は不明のまま。福岡市医師会は会員の医師約2600人に会報で注意喚起し、会員専用ホームページで衛生管理などの防止策を確認、徹底するよう呼び掛けた。
名古屋大医学部の荒川宜親教授(細菌学)は「CREは保菌しているだけなら無害なことが多いが、血中に入り敗血症を起こすと欧米では3~5割が死に至っている」と警鐘を鳴らす。
厚生労働省などによると、CRE感染症の発生数(16、17年は速報値)は、報告が義務付けられた2014年が9月以降で314件、15年1671件、16年1555件、17年(8月末時点)1023件。病院内で感染者が出た場合の対策は「感染者が他の患者と接触しないように個室に移すことが最優先」(荒川教授)という。北九州市立八幡病院の伊藤重彦副院長は「介護施設の高齢者が病院で感染し、気付かずに施設に帰る可能性もある」と指摘。「施設と医療機関の連携強化が急務だ」と訴えている。

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