大阪市立大病院は20日、国の通知で再使用が禁じられている使い捨て用の医療機器を使用後に洗浄・滅菌処理し、少なくとも平成27年8月以降、計84人の患者に使っていたと発表した。同時期以前にも再使用を繰り返していたが、現時点で健康被害の報告はない。病院は「信頼を損ね深くおわびする。再発防止に取り組む」とした。
再使用された医療機器は、骨に穴を開ける「ドリルバー」(42種類)や骨を切断する「ブレード」(7種類)、脳動脈瘤(りゅう)の手術で血管を挟む「クリップ」(53種類)など。整形外科や形成外科、脳神経外科などで使用されていた。
手術では複数のサイズの刃を用意し、患者に合う機器を使うが、術後には全てを破棄する必要がある。だが同病院では、刃が1本あたり1~3万円と高額になることなどから、実際に患者に使ったものを含め、洗浄・滅菌処理をして再使用していた。
厚生労働省は16年以降、感染防止の観点から、使い捨ての医療機器を再使用しないよう各都道府県に複数回通知。同病院でも関係者に周知していたが、一部で通知前と同様の運用を継続していた。
兵庫医科大病院(兵庫県西宮市)で今年8月、機器の再使用問題が発覚し、大阪市立大病院が院内調査を開始。その後、同病院でも再使用が判明し、調査を進めていた。