2017/10/20【鳥インフルエンザ】流行に注意 高病原性、哺乳類間で飛沫感染 /中国
今年初めに中国で猛威をふるった鳥インフルエンザウイルス(H7N9型)が、哺乳類間で飛沫(ひまつ)感染して病原性も強いことが分かったと、東京大の河岡義裕(かわおか・よしひろ)教授(ウイルス学)らの研究チームが19日、米科学誌に発表した。
ヒト同士で感染するウイルスに変異する恐れもあり、世界的大流行(パンデミック)への備えを呼びかけている。
このウイルスは2013年以降、中国でヒトへの感染例が毎年報告され、国連食糧農業機関(FAO)の報告によると、延べ1600人近くの感染者を確認、このうち600人超が死亡している。当初は低病原性だったが、高病原性に変異したことが分かっている。
研究チームは、中国の患者から昨年分離されたウイルスを分析。表面にあるHAたんぱく質がヒトの受容体を認識し、ヒトに効率的に感染するよう変異していることを明らかにした。モデル動物のフェレットによる実験では飛沫感染し、肺や脳で増殖して3匹のうち2匹が死んだという。
鳥インフルエンザウイルスは鳥類との接触で感染する。哺乳類同士で飛沫感染して少量でも個体が死ぬほど病原性の強いウイルスの報告は今回が初めて。
河岡教授は「動物実験では一般的な抗インフル薬がこのウイルスには有効ではない。ワクチンの備蓄なども検討すべきだ」と指摘している。
https://mainichi.jp/articles/20171020/k00/00m/040/132000c