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- 2019/08/05【カプノサイトファーガ感染症】飼い犬の唾液から感染症を発症 米オハイオ州在住の女性が両腕の一部と両脚膝下を切断 /アメリカ
2019/08/05【カプノサイトファーガ感染症】飼い犬の唾液から感染症を発症 米オハイオ州在住の女性が両腕の一部と両脚膝下を切断 /アメリカ
オハイオ州スターク郡カントン在住のマシューさんとマリー・トレイナーさん夫妻は5月初旬、カリブ諸島での休暇を終えて帰宅し、2頭の飼い犬たちに大喜びで迎えられた。しかし翌日の夜、マリーさんは背中の痛みや吐き気に襲われ「疲れもあるし、インフルエンザにでも罹ったのかしら」―そんなことを考えながら眠りに落ちた。
その夜、マリーさんは高熱にうなされて朦朧とし、早朝に地元のアライアンス・コミュニティ病院に緊急搬送された。
手や足の痛みを訴えながら意識が混濁した状態のマリーさんは、設備の整ったオールトマン病院に移されたもののすでに敗血症を起こしており、危険な状態が続いた。そして入院から2日後、マリーさんの容態は急変し自分で呼吸することさえできなくなってしまった。
医師により生命維持装置がつけられ人工的な昏睡状態に置かれたマリーさんはその後、多臓器不全に陥り、両手足がどす黒く変色し始めた。マリーさんの家族はオールトマン病院の医師らから、手足は壊疽を起こしており四肢を一部切断しないと命の危険があることを伝えられた。
入院から10日後、病室で目を覚ましたマリーさんは自分がどこにいるのかも分からず、両腕の一部と両脚膝下が切断されていることに気付いて取り乱した。
医師らは血液検査の結果、マリーさんが犬や猫に噛まれたり引っ掻かれたりすることで感染する「カプノサイトファーガ感染症」を発症していたことを突き止めた。マリーさんは細菌に感染したことで体内に多数の血栓が生じて血流が妨げられ、それによって手足が壊疽を起こしてしまったのだ。マリーさんの腕には小さな傷があり、犬の唾液がその傷に付着したことで感染した可能性が高いという。
のちにマリーさんは「具合が悪くなってソファーに横になったのは覚えています。でもそれ以降の記憶はありません。犬に舐められるのはいつものことで、このようなことになって気持ちの整理をつけるのが本当に大変でした」と涙ながらに語っている。
ヘアースタイリストとしてサロンを経営しているマリーさんだが、これまでの入院はすでに80日を超えており、手術は8回にも及んだ。現在はリハビリに励んでおり、今回のことについてはこのように明かした。
「たくさんの人に支えられて、私は命を救われ生き延びることができました。毎日夫が病院に来て、私の世話をしてくれています。食事や着替えも全て夫が頼りですが、一日も早く自宅に戻れるよう前向きに頑張るしかありません。リハビリはまだ続きますが、愛犬は私の家族と一緒で手放すことは全く考えておらず、再会できる日を楽しみにしています。今後私と同じようなことが起きないよう、この感染症についてより多くの人に知ってもらえばと思います。」
なお、オールトマン病院の感染症専門医マーガレット・コーべさんは「カプノサイトファーガ属菌は犬や猫の唾液に含まれていることで知られていますが、感染症の発生頻度は非常に低く過剰に恐れる必要はありません。ただ免疫力が低下していたり基礎疾患がある場合は、犬や猫との濃厚な接触は控え、もし噛まれたりした場合は早急に医師の診察を受けてください」と述べている。
ちなみに2018年にも、ウィスコンシン州の48歳の男性が犬の唾液から感染症に罹り、四肢切断を強いられていた。